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おおたま学園コミュニティ・スクール(大玉村立大山小学校)および聖光学院高校探究コース 教育長訪問

 令和5年7月13日(木)、福島県教育委員会 大沼博文教育長が、おおたま学園コミュニティ・スクール(大山小学校)と聖光学院高等学校探究コースを訪問しました。
 今回は、地域と協働しながら魅力ある学びを進めている学校の取組を紹介します。


おおたま学園コミュニティ・スクール

 最初の視察先は、青々とした芝生が広がる校庭と、子どもたちの元気な挨拶が印象的な大玉村立大山小学校です。

「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」と「地域学校協働活動」

 「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」とは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき、学校運営や学校の課題に対して、広く保護者や地域住民の皆さんが参画できる仕組みです。
 また、「地域学校協働活動」とは、地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・機関等の幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動のことを指します。
 大玉村では、村内すべての学校(幼稚園2園・小学校2校・中学校1校)の学校運営協議会を「おおたま学園コミュニティ・スクール」として統合しました。さらに、協議会委員以外の村民も加えた拡大版コミュニティ・スクール「おおたまコミュニティ広場」を開催し、地域全体を巻き込んだ5校が「授業の中で、地域を知り、自分たちが地域で何ができるかを考えながら郷土愛を育む」という目標を地域と共有し、学校運営協議会での熟議にもとづく地域学校協働活動を展開し、全村民が一体となって支援する体制を構築しています。令和4年度には、文部科学大臣表彰を受賞しています。(詳細は、社会教育課noteの記事をご覧ください。)

地域の大人が授業の先生〜学校支援ボランティア〜

 おおたま学園コミュニティ・スクールの概要説明の後、早速、5年生の総合的な学習の時間の授業参観です。今日の授業は、そば講話とそばの種を植える活動。そば講話やそば種植え実技指導の学校支援ボランティア4名が来校していました。大玉村は県内でも有数のそばの産地。講話では、ボランテイアの方が、そばの種類や栽培方法、食べ方まで様々な角度からわかりやすくお話をしていました。子どもたちは、わかったことを熱心に書き取ったり、講師の質問に答えたりしていました。驚いたのは、子どもたち自ら積極的に質問していたこと。主体的に考えようとする姿勢が伝わってきました。
 もっと驚いたのは、このそば講話の講師は、大玉村長だということ!
 
村長さんはじめ、地域の大人が自然体で子どもたちの学びを支えていることがよくわかりました。

大玉村長さんのそば講話は、とてもわかり易く、子どもたちは大玉のそばを一層好きになるだろうなと感じました。


子どもたちは、そば講師の村長さんに積極的に質問します。奥の三人は、実技指導のボランティアの方々。

いい村はいい学校を育てる、いい学校はいい村をつくる

 次に、おおたま学園コミュニティ・スクールの委員のみなさんとの懇談を行いました。平日にもかかわらず会長はじめたくさんの委員の方が集まってくださいました。委員の構成は、年齢構成や職業も様々。生まれた時から村で生活してきた方や移住してきた方、委員になった動機なども様々でしたが、共通しているのが「大玉村が好き」ということ。大好きな大玉村で、子どもの夢を叶える手伝いができることにやりがいを感じていて、それが関わっている子どもたちにも好影響をもたらしているようです。「大玉が好き」という子どもが増えてきた、子どもたちが積極的になったと感じることが多くなったということでした。

懇談の中では「大人が楽しむことが子どもの楽しみに繋がっている」という意見もありました。

聖光学院高等学校探究コース

 午後からは伊達市にある私立高校、聖光学院高等学校の普通科進学探究コースを視察しました。聖光学院と言えば、高校野球で全国的に有名ですが、学習指導要領改訂に伴い、令和4年度に「工学科」「普通科」に学科改編しました。その中でも普通科では、進学探究コース、スポーツ探究コース、福祉探究コースの3つのコースに分け、地域との協働や探究的な学びに重点を置いた教育内容を展開しているそうです。

学力向上だけでなく、次世代(Society5.0)を豊かに生き抜き、よりよい未来の創造者となる人材育成を目指す進学探究コース

 進学探究コースでは、学校設定科目「探究Ⅰ」「探究Ⅱ」を週4時間実施。年間を通して数多くの外部人材との関わりを持つそうです。そのラインナップは実に多彩!これだけの外部の方々との繋がりを築き上げてきた担当の先生方の努力が推し量られます。
 地域課題探究活動の取組についての説明後に、普通科進学探究コース2年生の授業参観へ。場所は教室ではなく、車で数分の多目的スペース「リノコトコバコ」。この「リノコトコバコ」は、伊達市にある企業が地域をつなぐ多目的スペースとしてつくった施設で、聖光学院高校の探究Ⅰ・Ⅱの授業の場として活用させてもらっているそうです。
 壁に大きなディスプレイが備え付けられ会議ができる、まるで秘密基地のような広い部屋で、7〜8人の生徒がタブレット(使用ソフトはスプレッドシートやスライド、Canvaなど)を用いて、それぞれが設定したプロジェクトの企画案の作成を進めていました。

担当の教員は伴走役に徹し、プロジェクトの進め方についてアドバイスをしていました。

 学校に戻ってさらに授業参観。1年生の進学探究コースでも、生徒たちはタブレット(使用ソフトはCanva)を用いて、一人ひとり異なるテーマで探究Ⅰで実施した授業を振り返る探究新聞の制作を進めていました。

意欲的に探究に取り組むコース生の活動の場、タンキュウブ

 授業での探究活動を通してさらに意欲的に取り組みたいコース生は、タンキュウブに所属し、1年間探究活動を行うそうです。訪問の最後には、このタンキュウブの活動について、2名の生徒が発表してくれました。
 一人目の発表は、伊達市の映画制作の取組。人口減少の伊達市の課題を世界という広い視野で考えようと取り組んだのが映画制作。3月には「ワンダテフルライフ」と題した映画を完成させ、You Tubeで公開しました。(県教委公式noteでも紹介しています。記事はこちら。) 

映画制作を通して、伊達市の良さについて真剣に考えました。

 二人目の発表は、「ドライフルーツハーブティーづくり」。探究活動で農家を訪問した際、福島県の農業が抱える2つの課題に着目しました。それが、規格外の果物が廃棄されてしまうこと、そして耕作放棄地の課題です。
 そこで、廃棄されてしまう果物と耕作放棄地で育てたハーブを使ったフルーツハーブティーづくりを思い立ったそうです。キッチンカーを運営し食品ロスに取り組む方や大学生などと協力し、「TEA&THINGS」というブランドを立ち上げました。ハーブティーは、これまで何度も販売会を実施しているそうです。

何度も打ち合わせを重ね、美味しさを求めて試行錯誤を繰り返したそうです。
福島産のハーブの爽やかさとフルーツの甘みにほっこり。新緑を走る阿武隈急行と高校生が写るパッケージのセンスも光ります。

 福島県教育委員会では「福島ならでは」の教育を掲げています。
今回の訪問では、学校での学びを通じて地域の方々と積極的に関わることで成長する子どもたちの様子やそれを支える教員や地域住民の思いに触れた一日となりました。

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