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ふくしま教育通信 2023年9月号           編集後記「紙の匂い」               教育総務課長 堀家 健一

 9月に入りましたが引き続き35℃近い日が続くなど残暑が厳しい毎日です。皆様いかがお過ごしでしょうか。浜通りでは線状降水帯が発生して大きな豪雨災害が生じました。被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を祈念しております。

 夏季休暇が明け、職場での会話の中で子どもの夏休みの宿題が話題に上ることがありました。我が家は妻や私が宿題を見ると、ついつい小言が多くなってしまうので戦略的に対応を。夏休みの最後に義母に福島に来てもらい、娘の宿題の仕上げをしてもらうという作戦にでました。優しいおばあちゃんに見てもらって娘はいい気分。義母も年に数回しか会えない孫なので楽しそう。最後に私は「よく頑張ったね」と褒めるだけ。義母は「すごい大変だったのよ!」と言っていましたが、なかなかいい作戦だったなと思ったのでした。

 前回、変わるもの変わらないものについて書かせていただきました。夏休みの宿題の中にも時代に合わせて変化しているものがあります。その1つが電子図書館の活用。福島市では市立図書館で電子図書館をスタートしており、福島市立の児童生徒にもアカウントが付与されています。娘の宿題も、そのアカウントを使って電子図書館を使ってみようというもの。バレエが好きなので検索をしてみたところ「白鳥の湖」の本を借りることができ、楽しそうに読んでいました。

 子どもたちもタブレットで本を読む時代になったんだなと関心しつつ、そのまま電子図書館を使うかと思うと、普段は学校で借りてきた本やお気に入りの本や漫画をリビングで寝そべって読んでいます(この姿勢が私が本を読んでいるときとそっくりで遺伝の力を感じます)。やはり気軽に読む本は、デジタルネイティブな世代の娘であっても、ぱっと手にとれる紙の方がいいのだなと感じています。

 学校への出席連絡や保育園からのお便りもアプリを通じて行うことができるようになりました。小学校でも今後、プリント配布をアプリにシフトしていくと連絡がありました。先生方が電話を受ける時間やプリントを印刷、配布する手間を削減することができるので非常に良いなと思っています。どんな資料が配付されているかをアプリを通じて確認することができれば、今のように娘の連絡袋をひっくり返して提出期限ギリギリの資料が出てきたり、仕事を休んで対応しないといけない日程を直前になって知ったりということもなくなるのかなと期待しています。

 一方で、妻と話をしていると時間割や次の日の準備に関わる情報は紙で欲しいなとも思っています。知りたい情報があるときにわざわざ携帯でアプリを開いてダウンロードしなくとも、ぱっと冷蔵庫に貼ってある資料を見る。紙にはそういう便利さもあるなと思います。

 私自身も福島市の電子図書館に登録をして本を探してみました。こんな本も借りれるのか、便利な時代になったもんだと感じる一方、図書館にある少し古い本が醸し出す匂いや「しん」とした空気を肌で感じながら本棚の間をぶらぶらして気になったタイトルの本を開いてみる。そうした雰囲気は、実物の本を所蔵している図書館ならではだなと感じました。本屋もそうで、Amazonや楽天で欲しい本を注文して届けてもらう便利さもありますが、本屋でタイトルや装丁に惹かれて手に取って読んでみるという体験が、元々の興味のある分野を広げてくれる偶発的な出会いにもなります。そうした経験も含めて、自分は本を読むことが好きなのだなと思います。

 急速にデジタル化、ペーパーレス化が進む現代社会。無駄を省いて効率化を図ることは大前提ではありますが、そうしたノスタルジックな良さに思いをはせる今日この頃です。
 
 今月も最後までお読みいただきありがとうございました。

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