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2024年9月号 リレーエッセイ      オリンピックで気づく「日本らしさ」をつくるもの                                 教育委員 成澤 勝蔵

 今年開催されたパリオリンピック・パラリンピックで多くの日本選手が最後まで諦めずに活躍した姿に感動を与えてもらいました。勝利する姿はもちろんのこと、勝利できなかったときの姿にも、日々の練習の姿を見て取ることができ、心からエールを送ることができました。誰一人として1日や2日の練習で選手になったのではなく、活躍の陰には日々の練習、勝利のための考察、食事管理など様々な努力があったと思います。
 色々な競技を見ていて、ここぞというときに力を発揮しミスを恐れずチャレンジする姿が多く見受けられたことが印象に残りました。「ミスをしたら怒られる(短所を減らす)」という教育から「良いところを最大限に生かす(長所を伸ばす)」という前向きな指導への転換が一つの要因ではないか、と思いながら観戦していました。

 前回の東京オリンピック・パラリンピック以降、日本に訪れる外国人が年々多くなりSNSに日本に来て良かったこと、驚いたことなどが多く投稿されているのを見るようになりました。
 電車やバスの中の静かさ、列に並んで待つなどの公共の場でのマナーの良さ、街中のゴミの少なさ、治安の良さや他人に対して親切で物を無くしても交番等にそのまま届けられている、などの投稿を数多く目にすることができます。日本で暮らしている私たちには当たり前のような習慣も、外国から来た人には特別なことだということに気づきます。多くの日本人がそのような行いをしていることに私たちが幼い頃から受けている日本の教育や道徳は他国からも認められ、それが日本らしさを作っていると感じさせられます。
 教育や道徳を身につけることは保護者や地域の人、そして学校の先生からの教えを日々積み重ねていくことでできあがっていきます。アスリートのような厳しさはないかもしれませんが、私たちの日々の暮らしを当たり前に続けていくことが日本らしさを作ります。そのためにも保護者や地域の大人や教師など指導する者は尊敬され、憧れられる存在でありたいものです。尊敬し、憧れる人であれば教え指導される子どもたちもされる者の聞き方、理解がより深まると思います。自分もそのようにありたいと思うし、これからの若い世代にも引き継がれていくことを望みます。