「練習船 福島丸」に乗船!
福島県の高校で唯一「練習船」(実習船)を持っている学校をご存じですか?そしてその「練習船」を見たり、乗船したりしたことはありますか?
県内で唯一の水産科を設置し、「練習船 福島丸」を有するのが、福島県立小名浜海星高等学校です。
小名浜海星高校は令和3年4月に小名浜高校といわき海星高校が統合してできた学校。普通科、商業科、水産科(海洋科、情報通信科、食品システム科、海洋工学科)があります。今回は令和5年7月16日(土)に行われた小名浜海星高校「練習船 福島丸」の一般公開について、ご紹介します!!
1 いざ、練習船 福島丸へ
(1)福島丸の大きさは
福島丸の大きさはどのくらいだと思いますか?
福島丸は、全長63m、幅10m、総トン数665tです。海洋科、海洋工学科の生徒は在学中に約2ヶ月間、専攻科海洋科はさらに1年3ヶ月、専攻科機関科は1年の遠洋航海実習を行います。実習場所は太平洋のど真ん中、日付変更線付近。中学校社会では時差の計算でもおなじみの緯度や経度ですが、船舶では場所と方向を示す大事なもの。6月14日、福島丸は北緯15度、東経176度の場所にいたそうです。
※専攻科とは、高校卒業後の2年間、さらに高度な知識と技術の習得を目指して学ぶ課程です。
(2)福島丸の船内へ
船内で最初に入ったのが操舵(そうだ)室。その名のとおり、船を操縦するところです。「船の周囲360度にわたり電波を発射して対象物の距離・方位を測定する」というレーダー装置をはじめ、車のハンドルのような操舵装置(そうだそうち)も。見学に訪れた子どもたちは、舵を握ってニコニコ。「面舵(おもかじ)いっぱ~い、取舵(とりかじ)いっぱ~い」という声が聞こえてきそうです。
操舵室のすぐ後ろには海図室が。海図とは、簡単に言えば「海の地図」。海図には水深や航路、等深線(海底の起伏を見やすくしたもので、等高線に相当)などが書かれ、現在は、電子(計器類)と紙の海図の両方を用いているそうです。「生徒たちも海図が読めます」との説明に、目が釘付け。
(3)約2ヶ月間の暮らしは
遠洋航海実習で、気になるのは衣食住。約2ヶ月間を過ごす部屋は・・・
各部屋には二段ベッドと家具類が設置されていました。洗濯室やお風呂場も完備。クラスの友人をはじめ、教員や船員さんと寝食をともにしながら、太平洋上でマグロのはえ縄漁業を行う小名浜海星の高校生。もちろん、食事はボリューム満点。食堂には2ヶ月分(60名分)の食料積み込み量として米1000kg、野菜1500kg、冷凍品3000kgの表示が・・・。ピンとこないかもしれませんが、操業中は1日4食で25kgの米を炊くとのこと!!お米をとぐだけでも大変そうですね。
生徒たちは、船酔いの洗礼を乗り越え、見張りや航海日誌を記入したりする「当直」実習を体験します。もちろん、マグロはえ縄漁業、操船、機関保守・整備など船上でしかできない実習も行います。福島丸に展示された写真からは、実習を通して生徒たちが充実した日々を過ごし、たくましく大きく成長している様子が伝わってきました!!
2 チーム「じゃんがら」の演舞
福島丸の一般公開に合わせて、チーム「じゃんがら」の演舞も行われました。「じゃんがら念仏踊り(じゃんがら)」は、いわき市の夏の風物詩で、いわき市の無形民俗文化財です。8月の旧暦のお盆のときに新盆の家庭をまわり、太鼓と鐘のリズムに合わせながら念仏を唱えて踊ります。
かつては、いわき市のあちこちで見られた「じゃんがら」。じゃんがらの音が聞こえてくると、「あのご家庭は新盆なのだな」と思いを巡らせたものです。年々、じゃんがらを演舞できる方が少なくなる中、継承に向けて活動を続けている小名浜海星高校生、暑い中での演舞ありがとうございました!
3 子どもたちのハートをわしづかみ
子どもたちに人気を博したのが、各学科が設けた学科紹介・展示ブース。
福島丸で獲ってきた魚に触れるコーナーをはじめ、授業で作った缶詰などの販売や、ものを作ってみる体験コーナーもありました。実際の文化祭の賑わいや活気が伝わってくるようでした!!
小名浜海星高等学校の皆さん、暑い中、各学科の紹介や展示、販売、じゃんがら演舞、福島丸の一般公開をありがとう!
小名浜海星高等学校のホームページには、学校の取組がたくさん掲載されていますので、ぜひご覧ください。