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演劇によるコミュニケーション能力育成事業モデル校レポート(会津若松市立大戸中学校)

福島県教育委員会では「演劇によるコミュニケーション能力育成事業」を展開し、県内の小学校1校、中学校2校、高等学校3校をモデル校として指定し、県内の児童生徒のコミュニケーション能力を高める実践に取り組んでいます。

今回は、モデル校の一つである「会津若松市立大戸中学校」で10月7日に行われた実践を紹介します。

活動の場面設定を話す講師

この事業に協力いただいているのがNPO法人PAVLIC(パブリック)の皆さんです。NPO法人PAVLIC(パブリック)は、演出家、実演家、ワークショップデザイナー等で組織され、全国の小・中・高等学校等で舞台芸術表現を通じた「参加体験型学習=ワークショップ」の実践を行い、社会で必要とされる「コミュニケーション能力」の育成に取り組んでいる団体です。大戸中学校への訪問は、今回で3回目となります。

説得しても椅子から立ち上がろうとしない「きたむー」

そのPAVLIC(パブリック)の講師の皆さんが用意した今日の活動は、椅子から立つように説得しても言い訳をして立ち上がろうとしない人(北村耕治さん=きたむー)を立ち上がらせようというもの。

作戦会議を始める大戸中の生徒たち

早速、グループに分かれて生徒たちの作戦会議が始まりました。どのグループもすぐにアイデアを出し合い、活発な話し合いが行われています。

こんな設定はどうかな

全員が意欲的に、楽しみながらアイデアを出し合っています。今回の活動に参加したのは大戸中学校の1年生から3年生の全校生徒。「学年も性別も関係なく、みんな仲がいいんですよ。」との校長先生のお話のとおり、互いの意見を尊重しながら楽しそうに活動しています。

実際に動いて練習

さて、練習の時間を経て、生徒たちの作戦も形になってきました。どのような方法で「きたむー」を椅子から立ち上がらせるのでしょうか。期待がふくらみます。

熱演する大戸中の子どもたち

いよいよ、各グループの作戦実行です。各グループに与えられた時間は90秒。あの手この手で、「きたむー」を立ち上がらせようとがんばります。

各グループの迫真の演技に終始大盛り上がり

各グループが作り上げる迫真の演技に教室は大盛り上がりです。後ろで見守る先生たちまで心の底から楽しんでいる様子がうかがえました。

緊迫した状況にも冷静に言い訳をする「きたむー」

いきいきと演技する大戸中の生徒たち。さて、そんな生徒たちのがんばりをよそに、まったく立ち上がろうとしない「きたむー」。笑いも誘う「きたむー」のおとぼけや言い訳にもめげず、生徒たちは説得を続けます。

「あなたに似た強盗が目撃されています。署まで来てください。」

生徒たちが考えた設定のアイデアはどのグループも独創性豊かで、短時間でよく考えたと感心するものばかりでした。生徒たちの発想の豊かさに驚かされます。

椅子取りゲームなのに座り続ける「きたむー」

どのグループもあの手この手で「きたむー」を立ち上がらせようとがんばりました。しかし、残念ながら、どのグループもタイムアップ。それでも、活動を終えた生徒たちは全員達成感のある表情です。

それぞれのグループのよさを伝える講師の皆さん

最後は、講師の皆さんからのお話。生徒一人一人を名前で呼びながら、「○○のあの場面の演技がよかったよ」「○○のアドリブが面白かったよ」と、全員の具体的な活躍を称賛していました。生徒たちもみんな嬉しそうな表情を見せていました。

そして、講師から大切なメッセージ。
「今日みんなが説得していた『きたむー』は変な人ではなく、普通の人です。ただ自分が思っている『普通』と違うだけ。価値観や考え方の違う人に出会った時、すぐには通じないかもしれないけれど、相手と向き合って関わろうとすることはとても大切なことです。今日のみんなはあきらめずに本気で向き合っていました。」

講師の話に熱心に耳を傾ける大戸中の生徒たち

終始笑いの絶えない楽しい活動でしたが、この活動を通してコミュニケーションで大切なことを学んだ大戸中学校の生徒たちでした。

大戸中学校の皆さん、PAVLIC(パブリック)の皆さん、今日は楽しく充実した時間をありがとうございました。


大戸中学校での1回目、2回目の活動や普段の教育活動の様子は学校のホームページをご覧ください。


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