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【寄稿】変化の時代に求められる教育のあり方                                      教育委員 正木 好男(まさき よしお)

 近年、教育を取り巻く環境は大きく変化しています。特にデジタル技術の進展は、教育の在り方そのものを問い直すきっかけとなっています。例えば、オンライン学習の普及により、学ぶ場所や時間の自由度が増し、個々のペースに合わせた学習が可能になりました。さらに、生成AIの登場により、生徒が自ら考え、創造する力を育む教育の重要性が一層高まっています。

 福島県においても、ICT教育の推進が進んでおり、多くの学校でタブレット端末を活用した授業が行われています。これにより、従来の一斉授業とは異なり、児童・生徒の理解度に応じた学習支援が可能になっています。一方で、デジタル技術に依存することのリスクについても考える必要があります。例えば、情報の取捨選択能力や、対面でのコミュニケーション力をどう育むかは、今後の教育において大きな課題となるでしょう。

 こうした中で、私が最近心に残ったのは、ある小学校の先生が語っていた「対話」の重要性です。タブレット端末を活用した授業が増える中で、あえて「顔を合わせて話す時間」を大切にしているとのことでした。子どもたちは、デジタルツールを通じて多くの情報を得ることができますが、その情報をどう解釈し、他者と共有するかは、やはり人と人との関わりの中で学んでいくものです。

 また、福島県では震災後の復興教育も重要なテーマとなっています。地域の歴史や課題を学び、未来の社会に貢献できる力を育む教育が求められています。実際に、地域の人々との対話を通じて、自分たちが地域社会の一員であることを実感する機会を設ける学校も増えています。

 教育は、単に知識を得るためのものではなく、よりよい社会を築くための力を養うものです。デジタル技術を活用しつつ、人と人とのつながりを大切にする教育を進めることが、これからの時代に求められるのではないでしょうか。