子どもも教職員もワクワクする学校に 教育長 大沼 博文
新しい出会いの季節
新年度が始まって3週間が経ちました。この間、学校では入学式をはじめ、子どもたちを迎える諸々の準備、年度始めの体制づくりなど、やるべきことが山ほどあって、先生方にとってはとても忙しい日々だったことと思います。
一方で4月は、授業や部活動など多くの場面で、子ども同士、子どもと教職員との間に新しい出会いが生まれる素敵な時期でもあります。
16日(火)、福島県初の公立夜間中学が福島市に開校しました。天神スクールと名づけられた同校には、様々な事情により義務教育から学び直したい、学びを深めたいと、年齢も国籍も多様な17名が入学しました。
「長年思い描いてきた、もう一度勉強し直したいという私の夢がこうして実現できること、感激もひとしおです。」「入学者一人一人にはそれぞれの思いがあり、夜間中学への入学を決意した経緯があります。私は、天神スクールが入学生17名のそれぞれの夢を、思いを実現する場となることを信じています。」
入学生代表の高野さん(64歳)が述べた誓いの言葉は、学ぶことへの喜びと希望に溢れていました。そして、生徒一人一人の学びたいという思いを支えるのは、開校の理念に共感して公募に応じた多くの教職員。温かで素敵な出会いがここにもありました。
あたらしいノートの初めの一頁まだぎこちない文字を並べる
20時の中学校はハングルと中国語あり電子辞書持つ
(『キリンの子 鳥居歌集』より)
教育とは、学校とは
アメリカの教育哲学者J・デューイ(1859~1952)は、「LIFE」という言葉を大切にしました。「LIFE」には、命、生活、人生という意味があるように、すべての人に平等に与えられる命を、日々の生活の中でどのように輝かせることができるか、生まれてきてよかったと思える人生をどのように送ることができるか。そのために、子どもたちを応援することが教育の目的であると述べています。
学校の使命は、子どもたちが「自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにする」(学習指導要領前文)ことにあります。
そのためにも、日々子どもたちに接している教職員はもちろん、この社会に生きる大人一人一人が、子どもと社会をひとつながりのものとして捉えた上で、教育とは何か、学校は何をするところかを改めて問い直し、対話を通してその本質を共有していくことが必要だと考えています。
学習者主体の学びへの転換
県教育委員会では、一昨年度にスタートした第7次福島県総合教育計画に基づき、学びの変革と学校の在り方の変革に取り組んでいるところです。今年度は、この変革をさらに推進するため、新たに(株)先生の幸せ研究所に各学校の取組への伴走支援をお願いし、先日は、県立学校の校長先生向けに「学校のRe Design」をテーマにワークショップを実施していただきました。
担当者の一人である大野大輔さんが、昨年度途中から伴走くださっている福島第四小学校の取組をレポートしています。
こんなふうに、各学校のこれまでの取組や教職員一人一人の考え方をいったん解きほぐして、こうありたい、こんな学校にしたいという思いを、対話しながら皆でベクトル合わせし、そこに向けてできることからチャレンジしてみませんか。
子どもたちが「楽しい」「もっと知りたい」「なぜ?」を追求できる学びへの転換、子どもたちも教職員もワクワクする学校への転換に向けて、みんなで変わろう!変えよう!子どもたちの未来のために。