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福島県教育委員会教育長からのメッセージ ~ 「学びの変革」の実現に向けて~

 将来を予測するのが極めて困難な現代社会。
 このような中で、一人一人の幸せと社会全体の幸せであるWell-beingを実現していくためには、どのような力を育んでいくことが必要でしょうか。
 本県では、このように考えました。

 「急激な社会の変化の中で、
  自分の人生を切り拓くたくましさを持ち、
  多様な個性をいかし、対話と協働を通して、
  社会や地域を創造することができる人」


 このような人を育てていくために、福島県教育委員会では令和4年度から「学びの変革」「学校の在り方の変革」を柱に掲げた、第7次福島県総合教育計画を開始。令和5年度は、年次計画である「学びの変革推進プラン」と、主要施策をパッケージとしてまとめた「『学びの変革』実現のためのストラテジー」に基づき、取組を着実に進めていきます。

「学びの変革」実現のためのストラテジー

 変革を真に進めていくために、福島県の教育に関わる方々と計画の理念を共有したい。そこで、大沼博文教育長からのメッセージをお届けします。 
 ※この記事の文章は、令和5年4月1日の『教育委員会だより』の教育長挨拶です。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/567257.pdf

はじめに

 はじめに、皆様には、子どもたちの学びの充実とそれを支える学校の環境づくりに日々御尽力いただいていることに、心から感謝申し上げます。
 本県は、東日本大震災及び原子力発電所事故からの復興・創生に向けて、今後も様々な課題を乗り越えていかなければなりません。また、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、Society5.0の到来や国際情勢の急激な変化等、将来を予測することが極めて困難な社会となっています。正解が一つとは限らない社会の中で、一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せであるウェル・ビーイングを実現するためには、児童生徒に自らの力で豊かな人生を切り拓き、多様な他者と共に豊かな社会や地域を創造する力を育むことが不可欠です。復興・創生の過程という困難な状況の中で培われてきた他者との対話や協働を通した学びを、「福島ならでは」の教育として更に充実・発展させてまいります。

「学びの変革推進プラン」と「『学びの変革』実現のためのストラテジー」に基づく6つの施策

 令和四年度にスタートした第七次福島県総合教育計画では、これからの本県教育の柱に「学びの変革」を掲げております。これは、全ての子どもに必要な資質・能力を育成するため、一方通行の画一的な授業から、個別最適化された学び、協働的な学び、探究的な学びへの転換を進める「学びの変革」と、その実現のための環境づくりとしての「学校の在り方の変革」を目指すものです。本計画では「学びの変革」を柱とした六つの施策を展開することとしており、今年度は年次計画である「学びの変革推進プラン」と、主要施策をパッケージとしてまとめた「『学びの変革』実現のためのストラテジー」に基づき、次の取組を着実に進めてまいります。

 施策一「『学びの変革』によって資質・能力を確実に育成する」では、ふくしま学力調査等の結果を踏まえ、一人一人の学力や学習状況に応じた授業の改善を支援するとともに、教員のICT活用指導力の向上を図り、学校における日常的な端末活用を進めることにより、個に応じた学力の向上に取り組んでまいります。また、ふくしま幼児教育研修センターを新たに設置し、幼稚園や保育所など公私・施設類型を超えた一体的な研修支援体制を整
備し、幼児教育の充実に努めてまいります。

 施策二「『学校の在り方の変革』によって教員の力、学校の力を最大化する」では、「教職員多忙化解消アクションプランⅡ」に基づく取組状況等の分析、成果の普及に取り組むとともに、教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)や部活動指導員などの外部人材を引き続き活用するほか、中学校の休日部活動の段階的な地域移行に取り組むなど、教員が自ら学び、児童生徒と向き合う時間の確保に努めてまいります。また、県立高等学校改革前期実施計画に基づき、統合校の教育環境の整備に取り組むとともに、地域と統合校が連携・協働して地域全体の魅力向上や担い手の育成を図るなど、学校の特色化・魅力化を推進してまいります。

 施策三「学びのセーフティネットと個性を伸ばす教育によって多様性を力に変える土壌をつくる」及び施策六「安心して学べる環境を整備する」では、県立特別支援学校十校に特別支援教育アドバイザーを配置するほか、児童思春期病棟に入院する児童生徒の学習機会を保障するため、入院児童生徒支援員を配置するなど、特別支援教育の充実に努めてまいります。また、様々な困難を抱える児童生徒を支援するため、不登校児童生徒支援センターを設置してオンライン等を活用した支援を行うほか、県立高校九校に外部人材を活用して、生徒が安心して過ごすことができる居場所をつくるなど、子どもたちが安心して学ぶことができる教育環境の充実に取り組んでまいります。

 施策四「福島で学び、福島に誇りを持つことができる『福島を生きる』教育を推進する」では、各県立高校の地域課題探究活動の充実を図るため、地域と学校をつなぐ地域ネットワーク推進員を新たに県内七地域に配置し、地域との協働的な学びを支援してまいります。また、震災の記憶と教訓の継承に取り組むとともに、福島イノベーション・コースト構想を担う人材育成に向けて、高校と企業等の協働を継続し、福島国際研究教育機構との連携を見据えながら、初等中等教育段階からの切れ目のない人材育成に取り組んでまいります。

 施策五「人生100年時代を見通した多様な学びの場をつくる」では、健康マネジメント能力など生涯にわたり学び続ける力の育成を図るため、自分手帳の活用等を通して、学校と家庭が連携し児童生徒が自ら課題を解決する能力を育成するとともに、学校・家庭・地域が相互に役割を明確に認識し協働関係を築くことにより、社会総がかりでの教育の実現を図るなど、子どもたちが安心して健やかに育つ環境づくりに取り組んでまいります。

最後に

 引き続き、教職員や保護者の皆様、地域の方々との対話を大切にしながら、皆様と思いを共有し、子どもたちの可能性を信じ、誰一人取り残さない、一人一人が主役となる教育を実現できるよう取り組んでまいりますので、皆様には本県教育の更なる充実発展のため、より一層力を尽くされることをお願い申し上げます。