新たな教育振興基本計画〜コンセプトは「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」
新たな教育振興基本計画が閣議決定されました!
今後5年間の国の教育政策の方針と施策を示す教育振興基本計画が、令和5年6月16日閣議決定されました。
教育振興基本計画とは? 国の教育施策の方向性を示す「羅針盤」
教育振興基本計画とは、教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。
VUCA※の時代と言われる現代。不確実で将来の予測が困難な時代において教育政策の進むべき方向性を示す、いわばVUCAの海を渡っていく「羅針盤」とも言うべき国の教育に関する総合計画です。
※VUCA・・・Volatility【変動性】, Uncertainty【不確実性】, Complexity【複雑
性】, Ambiguity【曖昧性】
第4期となる今回の計画のコンセプトは「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」の2つ。その下に、16の教育政策の目標と、基本施策、指標が示されています。
新しい教育振興基本計画の概要は以下のとおりです。
未来志向で対話を重視して策定された計画
渡邉光一郎・前中央教育審議会会長による「答申ポイント解説」では、計画のコンセプトやその性格、学校関係者へのメッセージが述べられています。先ほど述べたように、不確実で将来の予測が困難な時代における教育政策の方向性を示すとともに、教育関係者だけでなく当事者である子どもたちの意見を聞くなど、対話を重視して策定された計画になっています。
ウェルビーイング(Well-being)という新しい「ものさし」
計画のコンセプトのキーワードに「ウェルビーイング(Well-being)」があります。これは、経済的な面だけではなく「こころ」の充足、生活への評価・感情・価値、健康まで含めてとらえる新しい価値基準です。
「幸せ(happiness)」がより短期的で個人的な状況評価・感情状態であるのに対して、「ウェルビーイング(Well-being)」は、より包括的で、個人のみならず個人をとりまく場が持続的に良い状態であることを指します。
内田由紀子・中央教育審議会委員「計画ポイント解説~ウェルビーイング編~」では、計画で掲げているウェルビーングの考え方についてわかりやすく解説しています。
新教育振興基本計画と第七次福島県教育総合計画との関わり
この新教育振興基本計画を参考にして、各自治体では教育振興基本計画を策定することになっています。福島県ではすでに令和4年度から第7次福島県教育総合計画(以下、7次計画)をスタートしています。7次計画は国の動きを見据えながら策定の作業を進めてきました。7次計画では、
福島県の子どもたち一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せである
「Well-being」の実現
を目指しています。
7次計画は、「個人と社会のWell-being」の実現を目指し、「急激な社会の変化の中で、自分の人生を切り拓くたくましさ」を持ち、「社会や地域を創造することができる人」を育成することを中核的な理念としており、まさに、新しい教育振興基本計画のコンセプトや近年の世界の教育が目指すところと軌を一にしているのです。