「子どもと地域の未来を切り拓く」 浪江町立なみえ創成中学校
なみえ創成中学校は、平成23(2011)年の東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所の事故により避難や休校を余儀なくされた9つの小中学校(現在はすべて閉校)の思いを受け継ぎ、平成30(2018)年4月、浪江東中学校の校舎を改装し、なみえ創成小学校と併設する形で創立しました。毎日、生き生きと活動する生徒たちの取り組みを、一部ご紹介します。
【地域とともに学ぶ学校】
本校は、震災からの復興に向かう浪江町において、「子どもたちの生きる力と夢を育み、地域の未来を切り拓く学校」を基本理念とし、教育目標である「な」みえを愛し「み」らいに向かって「え」がおで生きるこども の育成に向けて、地域と連携しながら、日々の教育活動に取り組んでいます。
1 小・中合同避難・引き渡し訓練(4月)
4月の最終週、小・中合同で地震とそれにともなう津波を想定した避難・引き渡し訓練を実施しました。消防署や町役場の協力を得ながら、学校から役場前駐車場まで徒歩で移動し、保護者への引き渡しを行いました。生徒たちは真剣な態度で訓練に臨んでおり、自分の安全は自分で守るという意識が高まりました。
2 なみえ創成小・中学校合同運動会(5月)
地元の各種団体から協力を得て、準備を進めてきた小・中合同運動会を開催しました。当日は天候に恵まれず、体育館での実施となりましたが、会場は大いに盛り上がり、体育館は歓声に包まれました。
3 なみえ焼きそば体験(5月)
浪江町商工会の皆さんを講師にお迎えして、3年生が「なみえ焼きそば」作りを体験しました。生徒たちは、なみえ焼きそば50年の歴史や作り方を学ぶとともに、実際に調理しました。太い麺にモヤシと豚肉だけを加えたシンプルな具材に、濃厚なソースで味付けしたなみえ焼きそばを作り、その美味しさを実感しました。
4 大堀相馬焼体験(6月)
本校では、毎年窯元から職人さんを講師にお迎えして大堀相馬焼体験を行っています。今年度は、本校体育館にて、手びねりによる作品作りを行いました。実際に自分の手で作品作りをすることで、地元の伝統工芸に親しみ、350年以上に渡って受け継がれてきた歴史を実感する機会になりました。
5 学習旅行 なみえPR活動(7月)
学習旅行で東京を訪れた3年生が、日本橋ふくしま館MIDETTEにおいて浪江町のPR活動を行いました。生徒たちは、この日のために手作りしたチラシを配布したり、「なみえウォーター」の試飲をお勧めしたりしました。当日は浪江町のゆるキャラ「うけどん」もPR活動に一役買ってくれました。
6 職場体験(9月)
町内5つの事業所の協力を得て、2年生の職場体験活動を行いました。5人の生徒はそれぞれの職場での活動を通して、働くことの楽しさや大変さを知ることができました。また、将来の進路について、より主体的に考えるようになりました。
7 文化祭「海鴎祭(かいおうさい)」(10月)
校内文化祭「海鴎祭」を開催しました。生徒たちは、少ない人数の中で、一人何役もこなしながら、準備や練習に励みました。当日は、お世話になった方や地域の方をお招きし、これまでの学習の成果を披露しました。
8 子ども議会(11月)
浪江町では、「子どもは社会の大切な一員であり、町づくりについて意見を表明(発表)する機会が必要である」と考え、今年度「子ども議会」を開催しました。生徒たちは協力して質問内容を検討し、当日は緊張しながらも、議会で立派に質問することができました。子ども議会の活動を通して、生徒たちは町政の仕組みや、実際の町の取り組みに興味を持つとともに、町や自分の将来について考えることができました。
9 「総合的な学習の時間」発表会(11月)
1、2年生はそれぞれ「わが町なみえを知ろう」「わが町なみえに学ぼう」というテーマで「総合的な学習の時間」の活動をしてきました。そこでこれまでの活動を通して学んだことを披露する発表会を、浜通りデザインセンターにて開催しました。
10 浪江町運動交流会(11月)
「地域の方々と楽しく交流する機会を持ちたい」という思いで3年生が企画、準備を進めてきた「浪江町運動交流会」を実施しました。5種類のニュースポーツを通して、地域の方々と楽しい時間を過ごすことができました。
11 箏(こと)の教室(11月)
福島県三曲連盟いわき支部から6名の先生をお迎えして、「箏教室」を実施しました。講師の先生方の迫力ある演奏を生で聴いたり、実際に箏の演奏を体験したりすることで、日本の伝統音楽に親しみました。
12 ふるさと創造学サミット(12月)
ふるさと創造学サミットでは、「わが町なみえにいかす」をテーマに、3年生がこれまで活動してきた内容を発表しました。後半では「ニュースポーツを通した地域との交流」について提案し、実際に体験コーナーを設け、他校の生徒たちと意見交換することができました。
【本校ならではの特徴的な取り組み】
1 哲学対話(4・⑤・⑥・⑨・11・2月)・・・○は哲学対話の手法を用いた授業研究)
本校では、参加者が輪になって問いを出し合い、対話を通して、意見を共有したり、視野を広げたり、考えを深めたりする哲学対話の取り組みを行っています。今年度からは、その取り組みを各教科の授業に取り入れる、哲学対話の手法を用いた授業研究を行っています。
2 演劇ワークショップ(4・9・1月)
演劇的手法を用いたワークショップを実施しています。生徒同士が短い時間の中でストーリーや配役、実際の動きを考えて即興劇を作り、演じることを通して「自主性/表現力/発想力/感受性/社会性/まとめる力/チームワーク/協調性」など、生徒自ら考えることでコミュニケーション能力を高めています。
3 大学による出前授業(12月)
弘前大学の細田先生をお迎えして、2年生の技術で計測制御の授業を行いました。学校敷地内にも設置されている「放射線モニタリングポスト」の仕組みを例に、計測制御の流れや、浪江町での食品モニタリングについてお話しいただき、授業の最後には実際の測定機を使って測定演習を行いました。
本校では、ご紹介した以外にも、様々な取り組みを行っています。なみえ創成小・中学校ブログにおいて、日々の生徒たちの活動の様子を掲載していますので、ぜひ、ご覧ください。