2025年1月号 日々の想い 「地域とともに」 県立高校改革室長 佐藤 克敏
近年、新聞報道や各学校のHPを見ると、地域と連携した学びが盛んに実践されるようになってきたと実感します。私も地域コーディネーターの方にお世話になりながら、先生方とともに地域と学校をつなぎ、地域を学びのフィールドとする試みに参加しました。試行錯誤の連続でしたが、その時のお話です。
震災後、特に子供たちは自分の地域に対する関心が高いと私自身も感じてきましたが、やはり、地域探究学習の中で、地元企業の方々からお話を聞いて地域の現況とお話をされている方の夢を聞いている際の、生徒の目の色は違いました。おそらく小中学校において地域愛を育む授業の実践が、高校の学びにもつながっているのでしょう。自分が住む地域の素晴らしい自然と豊かな文化。そしてそこに根を下ろし、自分が住む地域を愛し、社会をより良くしようと今までにない試みに挑戦する先輩たち。当然、地域は人口減少や少子高齢化に悩む中ではあり、挑戦は容易ではないと思われますが、お話を伺った方々は、皆さんがその挑戦を楽しむとともに、日々の御自身の生活を本当に大事にしている様子がうかがえました。
とても良い話を伺うことができたので、お礼を述べて回ったのですが、その中のお一人からは逆にお礼を言われました。不思議に思っていると「後輩たちに自分の仕事内容を話せる機会を持てて本当にありがたいです。今日は自分なりに決意表明をしたのですよ。後輩たちの前で自分の夢を語ったからには、それを実現させなければならない。自分で退路を断ちました」とのことでした。楽しげに見えて、胸の内は熱くたぎっている。そんなカッコいい先輩たちと現役高校生との化学反応が地域探究の面白さなのかもしれません。
今回は、地域探究の入り口の部分のみを書かせていただきましたが、自分の身近なところから社会事象を自分事として考え、自分なりに提言し、地域の方に助言をいただきながら少しずつ社会に参画していく。新たな試みが生まれていく地域探究に今後も注目していきたいと思います。