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2025年2月号 リレーエッセイ            メディア報道の在り方と子どもたちへの影響                                   教育委員 正木 好男(まさき よしお)

 近年、報道機関の姿勢が社会的に問われる機会が増えています。
 子どもたちはメディアを通じて社会の出来事を学びます。過日行われた某社記者会見での一部の記者の攻撃的な質問や一方的な追及の仕方を目にすることで、子どもたちに誤った価値観を植え付け、大人の世界における「正義」と「礼儀」のバランスについて混乱する可能性があります。

 インターネットやSNSの発展により、メディアの影響力はますます強まっています。子どもたちがメディアを通じて「強い言葉が注目を集める」「他者を追及することが正義である」と誤解してしまうと、いじめの助長や対人関係の悪化につながる可能性があります。学校教育の現場でも、子どもたちがメディアの影響を受けて過激な言動をするケースが報告されており、報道の責任は重大です。

 では、どのような報道姿勢が望ましいのでしょうか。まず、メディアは公正で冷静な報道を心掛けるべきです。感情的な煽りや一方的な断定を避け、視聴者が自分で考え判断できる情報提供をすることが求められます。さらに、メディア・リテラシー教育を強化し、子どもたちが情報を批判的に捉える力を身につけることも重要です。
 報道機関には、社会に対する大きな影響力と責任があります。特に、次世代を担う子どもたちにどのような影響を与えるのかを考えながら、より良い報道の在り方を模索していくべきではないでしょうか。