ふくしま教育通信 2023年8月号 編集後記「お祭り」 教育総務課長 堀家 健一
今年の夏は全国各地で猛暑日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。お盆期間には台風の到来もあり、予定が変更となった方もいらっしゃったのではと思います。我が家は妻の実家のある福井県に帰省をしました。コロナの5類移行後、初のお盆ということで義弟夫婦、義妹夫婦も集まり大繁盛。義母さんは大変そうですが、娘たちは普段会わない大人に可愛がってもらって大満足の様子です。
この夏は地域の祭がコロナ前の形に戻って実施されているのも印象的です。我が家も初めて福島市のわらじまつりを見に行ったり、近所の山からふくしま花火やとうろう流し花火を見たりと楽しませていただきました。
地元の大阪や東京にいたときにも花火大会をはじめいろいろなイベントはありましたが、あまり「地域のお祭り」という感じはありませんでした。いろんな地域から人が集まってきているという土地柄もあるのかもしれません。大規模なイベント過ぎてお客さんでごった返しているせいもあるのかもしれません。
一方で、福島のお祭りは「地域のお祭り」だなと感じます。何十回と開催を重ねている伝統があるからかもしれません。家の近所で行われていてふらっと見に行けるというのもあるかもしれません。けれども何よりも、地域の人たちが地域の活性化や先祖の霊への鎮魂の思いを込めた手作りの企画になっているのが大きいのだろうなと思っています。「地域のお祭り」を感じたことがなかった私にとっては非常に羨ましいもので、娘たちも帰り道に「わっしょい!わっしょい!」と口ずさむなど、とても楽しそう。福島に連れてきて良かったなと改めて感じています。
このお祭り、これまでの伝統をしっかりと踏襲していくことも大切ですが、時代に合わせてアップデートしていっているところも面白いなとみています。特にわらじまつりは、2019年に50回の節目を迎えて大きくリニューアルされたとのこと。より地域の祭りとして継承されていくように、地域の民話をもとにしたストーリーを柱として、参加者が一体感を持つことができるように「わらじ音頭」と「わらじおどり」も含めてリニューアルされたそうです。
伝統をしっかりと形を変えずに受け継いでいくことも重要ではありますが、地域にとって大切なお祭りとしてしっかりと受け継いでいけるよう、あえて中身を見直して新しい動きを取り入れていく。こうした在り方は、伝統・文化を受け継いでいく上では非常に重要だと感じます。
教育の世界でも「不易と流行」という言葉がしばしば持ち出されます。少し古いですが、平成8年の中央教育審議会によるいわゆる「21世紀答申」においては以下のように記されています。
25年以上前の文章で今の時代にも通用する重要な考え方ですが、ICTが発達して学びの在り方の変革が大きく求められるこれからの社会においては、従来「不易」であると考えられていた部分についても価値転換が求められているのかもしれないと感じています。それは、一斉教授式の授業スタイルであったり、皆が同じ宿題をすることであったり、必ず学校に登校しなければならないという考え方なのかもしれません。もしかすると、学校は朝7時には鍵を開けていなければならないという考え方や休日も含めて部活動をするという考え方なのかもしれません。
時代に合わせ、これから先の子どもたちが生きていく社会を見据え、しっかりと学校教育の「不易と流行」を見定めていかなければいけない。そんなことを感じる夏のお祭り体験でした。
今月も最後までお読みいただきありがとうございました。