祝 大熊町立 学び舎 ゆめの森「始まりの式」 ~12年ぶりの大熊町での学校再開~
令和5年4月10日(月)、大熊町立 学び舎 ゆめの森の「始まりの式」が大熊町交流施設「linkる(リンクる)大熊」で行われました。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で全町避難を余儀なくされた大熊町。震災直後の4月から、避難先の会津若松市で教育活動を続けてきた大熊町にとって、町での教育活動再開は、震災後初で12年ぶり。入園式・入学式と始業式に当たる「始まりの式」には、期待に目を輝かせる元気な子どもたち26人全員が出席しました。
大熊町立 学び舎 ゆめの森「始まりの式」
晴れ渡る空のもと、会場の前には子どもたちを出迎える多くの地域の方々が。「おめでとう」「おかえりなさい」の言葉が響く中、子どもたちは歓迎のアーチをくぐりながら会場に入りました。
学び舎 ゆめの森は、令和4年4月に熊町小学校、大野小学校、大熊中学校の3校が統合してできた小中一貫の義務教育学校。令和5年度からは、幼保連携型の認定こども園も併設し、0歳から15歳までの園児・児童生徒が通います。
多くの来賓と保護者の方に見守られながら入場した26人の子どもたち。式典では、吉田淳町長が「町内での学び舎ゆめの森の始まりは、新たな教育のステージの始まりです。先人に学び、新しい文化を創る『温故創新』という大熊町の教育理念に沿い、子どもたち一人一人が輝ける教育環境の実現に取り組んでいきます」と式辞を述べました。
また教育委員会告示では、大熊町教育委員会佐藤由弘教育長が、「学び舎ゆめの森で、芽生えた『ゆめのたね』である好奇心を大切にし、じっくりと根を張り、自分だけの『ゆめのはな』を咲かせてください。学び舎 ゆめの森は『わたしが始まる場所』です。自らの学びを深めて素晴らしい『わたし』を描いていくことを期待します」と述べました。呼名で、担任から一人一人の名前が読み上げられると、「はい」と元気な声が会場に響き渡りました。
誓いの言葉
来賓からの祝辞と、祝電が披露された後、児童生徒を代表して、9年生(中学3年生)の石井埜乃佳(ののか)さんが誓いの言葉を述べました。「新たな友達を加え、ここゆめの森のある大熊町で学校生活を再開します。立派な『大熊っ子』に育っていく姿を見せられるよう、誇りを持って自分の未来を切り拓いていくことを誓います」と述べました。誓いの言葉には、大熊町の教育が消えることなく継続してきたことに対する感謝の気持ちがあふれていました。
式典の最後は、「学び舎 ゆめの森のうた」で締めくくられました。学び舎ゆめの森では、校歌を「うた」、校章を「シンボル」と呼ぶとのこと。谷川俊太郎さん作詞、谷川賢作さん作曲の「うた」を、児童生徒が元気よく披露しました。
会津の皆さん「ありがとうございました」、「いってきます」
東日本大震災が発生した平成23(2011)年3月11日。翌日12日には大熊町の全域に避難指示が出されました。このような中、大熊町は教育活動の再開を模索し、震災直後の4月には避難先の会津若松市で教育活動を再開しました。
震災から12年間、会津の地で教育活動を続けてきた大熊町。帰還にあたり、お世話になった方に感謝の気持ちを込めて、2月に「感謝を伝える会」を開催。オリジナル演劇「ゆめの森」を、児童生徒と教員で披露しました。
会津の皆さん、12年間お世話になりました。大熊に「いってきます」。
~哲学する学び舎から始まる、かけがえのない「わたし」の物語~
最後に、大熊町立 学び舎 ゆめの森の南郷市兵(いっぺい)園長・校長のあいさつを一部ご紹介します。
大熊町立学び舎ゆめの森に通う皆さん、「おかえりなさい」。
大熊の地で、自分だけの好奇心である「ゆめのたね」が芽を出し、あくなき探究心で「ゆめの根」を張って、自分だけの「ゆめのはな」が咲くことを応援しています。