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ふくしま教育通信 2024年3月号            編集後記「道程」              教育総務課長 堀家 健一

暖冬の影響か2月まではあまり降らなかった雪が3月に入ると思い出したかのように降っては解ける、そんな不思議な3月。梅の花が芽吹き始め徐々に春の足音が近づいてきています。

福島県に赴任して2年。一緒に来てくれた妻と娘たちには心から感謝です。家族で来たことで、行政官としてだけでなく、1人の県民・市民、父親、保護者として、福島県の生活にどっぷり浸かることができました。

福島で小学生になった長女は4月で3年生に。素敵なお友達にも出会い、伝統文化や芸術、豊かな自然にも触れ、感受性豊かに育っています。

次女も保育園を卒園し4月には小学生に。話し方が舌足らずで「さしすせそ」が「たちつてと」になりがちだった次女。妻と「いつになったら直すかね」と話しつつ「可愛いから放っておこう」とそのままにしていたら卒園児の言葉で「せんせい」が3回も出てくるパートに。「てんてぇ」となるのかなと心配していたら、しっかりと「せんせい!」と大きな声ではっきりと話します。知らぬ間に子どもは成長するものだと、ひと安心やら寂しいやら。

子どもたちがすっかり大きくなる2年というこの期間。どういう成果を遺すことができてきたのか自問自答します。

この2年間、意識したことは「社会に開かれた学校教育」の実現。学校を取り巻く課題が複雑化・高度化するとともに、社会全体が加速度的に変化する中、学校教育はもはやこれまでの学校内や地域のリソースだけでは成り立たなくなっています

またGIGAスクール構想による1人1台端末の整備やAIドリルをはじめとしたEdTech企業の出現など、学校教育の姿も大きく変化しつつある時代。既存の価値観に留まっていては、相対的に取り残される時代です。

そうした観点から、民間企業や高等教育機関等との協働関係の構築に意識的に取り組みました。企業では、メディアプラットフォームnoteを提供するnote社や、情報教育コンテンツを提供するLife is Tech社、個別支援教育ソフトを提供するLITALICO社、オンライン探究コンテンツを提供するInspire High社と連携。他県に先駆けて取り組むことで無償ないし廉価で豊かなサービスを学校現場に届けることに繋がっています

また東北大学高度教養教育・学生支援機構や福島大学とも協定を締結。大学の持つ優れた教育リソースを活用して、意欲ある高校生たちが大学における高度な学びに先んじて触れる機会を創出するなど、高校生たちの学びの充実につなげていく取組を進めています。

2月議会でも、高校生の短期海外研修を支援するための基金条例を提出しています。この基金では、半分以上を地域の企業等からの寄附でまかなうことが、国事業の補助要件となっており、社会の理解を得る取組が不可欠です。

福島に来て感じたことは、地域や社会が「福島を支援したい」という思いを強く持っているということ。その思いと学校教育を上手くつなぐための仕組みや枠組み作りに取り組んできました。

まいた種が花開くにはもう少し時間がかかるかもしれません。しかしながら、いつかこの福島の肥沃な大地にしっかりと強く根をはって、大きく芽吹いてくれると信じています。福島の「学びの変革」は着実に歩みを進めています

今月も最後までお読みいただきありがとうございました。