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シン・南会津高等学校 -伝統×革新-        福島県立南会津高等学校

 本校は、同じ南会津郡南会津町内にあった田島高等学校と南会津高等学校が統合して、令和5年4月に新生 南会津高等学校として開校しました。「湧志」、「友愛」、「協働」の校訓のもと、両校が紡いできた伝統を大切にしつつ、新たな歴史を歩み出しました。今回の統合に合わせて、普通科から総合学科に改編しましたが、その特長をいかして、「文理探究」、「教養探究」、「アグリ環境探究」、「ビジネス情報探究」の4系列を設置しました。生徒一人一人が、興味・関心や進路希望に応じて科目を選択し、授業や実習、探究活動などを通して身につけた知識や技能、経験をいかしながら、自らの夢を実現していきます。


1 離れていても心はひとつ-2つの校舎で学ぶ-

 本校は、「本校舎」と「南郷校舎」からなります。一つの学校でありながら、両校舎は35キロほども離れていて、移動に車で約45分かかります。距離の壁を乗り越えるべく、球技大会や芸術鑑賞教室などを合同開催するなど、できる限り交流の機会を多く設けることで、絆を深めています。
 校有地には、両校舎の校地のほか、附属の農場や演習林が300ha弱あります。校有地の広さは東京ドームの105倍と、全国有数の規模を誇っていることから、かつては日本版ギネスブックにも掲載されたことがあります。なお遠方から入学するなど通学が困難な生徒のため、本校舎に「田島寮」、南郷校舎に「時習寮」という寄宿舎を設けています。
 本校舎が建つ校地は、南会津町の中心部から移転し、昭和10(1935)年から使用しています。当時、石だらけの原野だったところを、生徒、教職員が授業と並行しながら切り拓き、整地を進めたという記録が残っています。

本校舎
南郷校舎
合同球技大会では、両校舎の生徒が楽しみながらも、全力プレーで切磋琢磨
先人の開拓の精神を伝える「潮音台(ちょうおんだい)」


2 ♪南会津のわたし♬が、未来に踏み出すための道標(みちしるべ)

 新しい校歌は、郡山市出身の作家古川日出男さん、作曲家の田中達也さんが、制作してくださったものです。3番まであり、「教室のなかで考えたり 悩んだり」、「デジタルの画面を見つめたりして」、「先生、先輩、後輩のいずれかなんだ」など、学校生活の場面々々が散りばめられ、誰にとっても歌いやすいものとなっています。令和5年4月10日に開催された開校式で、全校生徒の合唱により初披露しました。
 なお、本校ホームページ(https://minamiaizu-01-h.fcs.ed.jp/)では、歌声バージョンと吹奏楽部による演奏バージョンをお楽しみいただけます。ぜひお聴きください。

詞(ことば)ひとつひとつにエールが込められた古川日出男さんの直筆原稿


3 地域とともにある学校

(1)本校舎における「中高連携事業」と「除雪ボランティア」

 旧 田島高等学校(現 本校舎)では、平成17(2005)年度から地域の中学校と連携型中高一貫教育を実施してきました。この中高連携事業は、統合後も引き継がれ、連携中学校は1町2校から2町5校に増えました。中高の教員が相互に出向いて行う交流授業、本校の教員が各中学校を訪問しての進路ガイダンスや出前授業、中学2年生による本校訪問、農業を学ぶ本校生徒たちが中学生と一緒に取り組む草花栽培学習、部活動の合同実施などを展開しています。
 南会津町は、県内でも有数の豪雪地帯です。近年は、地球温暖化の影響などによって、かつてに比べると雪の量は少なくなりましたが、冬になると、学校は一面雪に覆われます。少子高齢化が進む中、高齢者のみなさんにとって雪かきは重労働です。そこで、平成21年度から毎冬、町内の除雪が困難な一人暮らしの高齢者などのお宅を訪問し、雪かきのお手伝いをしています。「雪」と「少子高齢化」という地域が抱える課題に向き合うことができるこの活動は、教育目標の一つに掲げる「地域に学び、社会に貢献しようとする人間の育成」を体現するものであり、これからも大切にしていきます。

“雪かたし”で、日ごろお世話になっている地域に恩返し

 地域とのつながりといえば、もう一つ。最寄り駅である、会津鉄道「田島高校前駅」は、旧校名が用いられた珍しい駅として、鉄道ファンなどに広く知られています。関連記事を本校のnoteに公開しておりますので、併せてお読みいただけると幸いです。

(2)南郷校舎における「早乙女踊り」と「南郷刺し子」

 南会津町の西部に立地する南郷校舎では、目の前に唐倉山の雄姿を仰ぎ、豊かな大自然に抱かれ、温かい地域の皆さんに囲まれながら、生徒たちが日々学んでいます。
 校舎の裏手を南北に流れる伊南川流域において、その年の豊作を祈願して行われる「早乙女踊り」(田植え踊り)があります。平成13(2001)年度から郷土芸能委員会に所属する生徒たちが継承し、地元で開催される南郷豊年まつりなどで発表してきました。

国の重要有形民俗文化財「大桃の舞台」で披露

 もう一つの南郷地域の伝統文化が「南郷刺し子」です。半纏(はんてん)に2本どりした白糸を用いて、縁起が良い紋様を描くこの技法は、16世紀初頭に開始されたとされ、明治時代に一度途絶えたものを、地域の皆さんが復活させました。地域課題探究活動の一環として、2学年の生徒が南郷刺し子会の皆さんと新たな作品づくりに挑戦しました。

ひとはり、ひとはり、家族への想いを込めて「あい、紡ぐ」

 地域のみなさんが暮らしの中で大切に守ってきた伝統行事や技術を、地域のみなさんとともに次代へと継承していく。こうした取り組みを、これからも続けていきます。


4 高校生語り部活動

 令和4年度から県教育委員会の「震災と復興を未来へつむぐ高校生語り部事業」に参画しています。私たちの学校がある南会津地域は、東日本大震災の直接的な被害は少なかったものの、災害はいつどこで起こるか分からず、常に私たちの生活と隣り合わせです。災害に真剣に向き合い、福島の復興に貢献したいという思いから、活動に取り組むことを決めました。
 「総合的な探究の時間」などを活用しながら、東日本大震災だけでなく、新潟中越地震や、今年で発生から100年となる関東大震災などについても調べました。身につけた知識や技術をもとに、福島における震災、復興及び福島の未来について、自分の考えを自分の言葉で語ることができる“高校生語り部“に成長し、首都圏をはじめ県内外の方の福島への関心が高まるよう、役割を担っていきます。

震災、津波、原子力災害の事実と現在(いま)を学ぶ(東日本大震災・原子力災害伝承館)
修学旅行において「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」を訪問(神戸市)
新潟中越地震の被災地における校外研修(新潟県長岡市山古志)
県立博物館の筑波匡介主任学芸員をゲストティーチャーに招いての震災学習授業
学習課題「県立博物館は、なぜ震災遺産の収集に取り組むのか」をグループで考えました。
学びの成果を東京の高校生との交流を通して発信①(東京都立足立東高等学校)
学びの成果を東京の高校生との交流を通して発信②(東京都立足立東高等学校)


5 部活動における伝統と芽吹き(レスリング部とバドミントン部)

 レスリング部は、昭和38(1983)年、旧 田島高等学校において発足しました。マットもない中、部員6名でのスタートでしたが、指導者の熱意や地域の皆さんの温かい応援などに支えられ、めきめき頭角を現しました。これまでにインターハイ及び国体で6名の優勝者を輩出したのをはじめ、全国大会の常連校として、数々の輝かしい記録を残してきました。現在は、後輩にあたる部員たちが、日々の練習に打ち込んでいます。

田島高等学校のスピリットは、時を超えて南会津高等学校でも生き続けます。

 新生 南会津高等学校の開校にあわせて、新たに生まれた部もあります。バドミントン部です。少子化などによって、高校の部活動が再編されたり、縮小したりする傾向にある中、地域の強いニーズに応えて創設されました。オリジナルメンバーである部員たちは、強豪ひしめく福島県において、新しい伝統を築くべく試行錯誤の毎日です。

「応援される部」「応援される人」になれるよう感謝の気持ちを忘れず、努力!努力!


※南会津高校のnoteと学校のホームページもぜひご覧ください!!


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