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2024年8月号 ふくしま教育通信    編集後記 教育総務課長 柾木 渉                            夏の風景 ~ご近所さんとの遭遇~

 7月末、福島市内の阿武隈川と松川の合流地点において、花火大会が行われました。小さい頃から見ていたこの花火大会は、今年で46回を迎えました。
 今年は、妹家族も実家に来ており、2歳になった甥っ子は、花火の音に驚き、落ち着いて見ていられなかったようです。そして私は、「花火見よう」と当日朝に連絡をしてきた中学校の友人と、近所の公園で昔話をしながら花火を見ていました。
 これまで、なかなかこの時期に帰省できていなかったので、高校生以来の風景でしたが、夜空に広がる花火の開花と、時間差で身体に響く音で、とても懐かしい思いに浸りました。

自宅近所より撮影した花火。自宅が風下のため、
花火が連続で打ち上がると煙に隠れてしまいました。。。

●作業車両を追うご近所さん

 夏季休暇期間中は、妻と息子も実家に来ておりました。最近は、ごみ収集車のミニカーも息子のお気に入りの一つなのですが、朝方、ごみ収集車が自宅前を通る時間に合わせて、外に出ました。
 案の定、作業車両に釘付けになっていたのですが、目の前を車両が通ると、ドライバーさんが手を振ってくれました。息子には、ドライバーさんがヒーローのように見えていたと思います。

実家の前からごみ収集車を見つめる息子と車を追いかける子どもたち

 そして、ごみ収集車が通る朝8:45は既に猛暑だったのですが、車両の後ろを2人の子どもとそれぞれの親が追いかけていました。目の前に来るまで気付かなかったのですが、幼稚園の頃から交流のあるご近所さんで、「子どもたちがごみ収集車が好きで、実家に帰ってくると、いつもごみ収集車追いかけてるの!」と言いながら、炎天下の中、子どもたちと走り去って行きました。
 
 懐かしい近所の人と、帰省のタイミングで出会い、挨拶をするのも、夏の風景の一つだなと感じます。この間、息子も近所の人や親戚など、たくさんの人に話しかけてもらい、良い機会になりました。

●ご近所付き合い

 みなさんは、ご近所の方とはどの程度の付き合いをされていますでしょうか。以下は、地域での付き合いに関する調査結果です。

出典:内閣府「社会意識に関する世論調査」より作成

 よく「近所付き合いが減っている」という話は耳にしますので、特に驚きは無い結果かと思いますが、約20年前、50年前と比べて、近所の人と「よく付き合っている」「ある程度付き合っている」の割合は減少の一途を辿っています。

 私の実家では、祖父がナスやキュウリ、スイカ、トウモロコシなどの野菜を育てており、たくさん収穫できた際には、近所に配ることもあります。そして、別のお返しを頂いたり、時には、野菜がかき揚げになってお返しとなって頂いたりすることもありました。この夏も、近所にナスとキュウリを配り歩きました。
 東京の自宅では野菜を作る土地も余裕も無いのですが、、子供が産まれたときには、近所にご挨拶に顔を出したり、世代の近いご家族とは、近所の保育園事情を教えていただいたり、、と、外で会えばよく声をかけていただいたり、子どもに話しかけてもらったりしています。

●共助のかたち

 自助/共助/公助という言葉を耳にされたことはあるでしょうか。個人が自らを助ける「自助」、地域で共に助け合う「共助」、行政による支援となる「公助」を指すフレーズですが、災害対策や社会保障の文脈などでよく用いられます。

 大前提として、行政機関としては、有事の際に迅速な対応を取れるよう、不測の事態に備えて体制を整えておく必要があります。
 防災に関する意識調査では、自助、共助の意識の高まりが見て取れます(下図)。防災に関して、自助/共助/公助のどの点に重点を置いて考えるべきかという調査になりますが、ここ20年の中で、公助の割合が減少し、自助、共助が増加していることがわかります。

出典:令和3年版防災白書 附属資料57 自助、共助、公助の対策に関する意識

 実家に戻り、日常的に近所の方々と挨拶をすることが増えましたが、実家の地域と東京の自宅の地域では、世帯層(子育て世帯が多い)や家族形態(ほとんどが核家族)は異なります。
 近所との付き合いや町内会などの集会組織が減少する中で、自分の住む地域では、この共助をどのように捉えていくとよいのか。比較的、近所付き合いのあるエリアですが、負荷の無い、自然な共助・近所との付き合い方について考えてみたいと、夏休み中の懐かしい人たちとの出会いを通して、そんなことを考えていました。