いじめ防止推進校の紹介(第3回)広野町立広野中学校・生徒会
子どもたちを取り巻く環境が変化する中、さまざまな関係機関と連携・協力して、いじめの未然防止、早期発見・対応、適切な支援につなげていくことはとても大切なことです。
今回は、いじめ防止に積極的に取り組む県内3つのいじめ防止推進校の活動をお届けする全3回シリーズの最終回。いじめ防止に対する自分たちの思いやアイデアを生かし、全校生でいじめゼロに向けて歩んだ広野中学校の取組を紹介します。
【学校紹介・学校の課題】
本校は、地元の広野小学校出身の生徒と、JFAアカデミー福島に所属する全国各地出身の生徒とが集まる、とても活気のある学校です。多様な意見が出る一方で、つい言い過ぎた発言が飛び交ってしまったり、すれ違いが生まれてしまったりすることが課題です。
いじめ撲滅運動→いじめゼロ運動
いじめを生み出さないようにしたいという思いを込めて、「撲滅」から「ゼロ」に言葉を変えました。
【生徒会の活動の様子①】
そこで、本校では、全校集会や生徒会企画の行事を通して、個人・学級・学年・学校全体の課題を共有し、いじめゼロに対する意識を高めてきました。4月に学級で「いじめに関する意識調査」を行い、学級会を開いて、学級の課題を共有し、学級ごとのスローガンといじめゼロに向けた取り組みを決定しました。その後、全校集会を開いて、学校全体の課題を共有し、学校全体のスローガンと取り組みを決めました。
さらに、季節ごとに、みんなで楽しむことができる行事を考え活動しています。春には、全校生でスプリングレクを行いました。たてわり班をつくり、人間まちがい探し・障害物リレー・ドッジボール・クイズなど、誰でも楽しむことができる工夫をしました。レクの後に行った振り返りでは、「全校生で楽しめてよかった」「ふだん話せない人と話せてうれしかった」「先輩が優しく助けてくれた」「サマーレクやウィンターレクもしたい」といった感想が書かれていました。
◆スプリングレクの様子◆
【いじめ防止ラウンドテーブルに参加して】(8月)
参加校の実践発表を聞き、本校にも取り入れたいと思う魅力的な活動がいくつもありました。また、中学校ごとに学校や生徒の姿も抱えている課題も異なっていることにも気づくことができました。さらに、ディスカッションを通して、「自分の立場なら、こういう活動をするかも」とさまざまな視点から考えたり、アイデアを共有したりすることができました。
【生徒会の活動の様子②】
11月には、いじめゼロに対する意識の変容を見るため、調査を行い、全校集会で結果を共有しました。いじめを生み出さないための工夫として、Good Action Tree(GAT)を作成しました。全校生のたてわり班で、各班1本の木を作成し、花びらにメッセージを書きました。内容は「友だちや先輩からしてもらってうれしかったこと」です。完成した作品は校内に掲示しました。
【いじめ防止ラウンドテーブルに参加して得られたこと】
8月に実施したラウンドテーブルに参加して、各校の参加者から新たな発想をいただくことができたことがとてもよかったです。本校で11月に行ったGood Action Tree(GAT)は、ラウンドテーブルで紹介された実践をもとに、広野中学校の実態に合わせて考えた活動です。全校生をたてわり班に分けて、各班で1本の木を作成し、花びら型のメッセージカードに、友だちや先輩からしてもらってうれしかったことなどを書いて貼り付け、掲示しました。この活動を通して、全員が楽しめる交流の時間を持つことができました。校内にGATを掲示したので、いつでも見ることができます。学校スローガン「いじめゼロ~仲良く楽しく安心を~」の達成に近づくことができていると思います。
今年度、最後のいじめゼロ全校集会は3月1日に行う予定です。
意識調査を実施し、1年間の取り組みについて振り返ります。
また、全校生でできることを生徒会で企画しています。
福島県教育委員会では、生徒自身が「自分たちにはいじめを止める力がある」と自覚し、みんなで本気で考える取り組みを発信しています。いじめ防止ラウンドテーブルで他校から刺激を受けたことを学校に持ち帰り、みんなでできることを考えた取り組みは、いじめ防止の大きな抑止力につながります。「いじめゼロ~仲良く楽しく安心を~」のスローガンに込められた思いが県内に広く響き渡るよう、広野中学校の取組をこれからも応援していきます。
※第1回の白河市立白河中央中学校、第2回の下郷町立下郷中学校の記事もぜひご覧ください!!