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ふくしま教育通信 2024年2月号         日々の思い「みんなの『歯医者さん』」      特別支援教育課長 根本 健一

 私のかかりつけの歯科医院は、障がいのある人が多く通っています。治療には痛み(怖さやつらさ)が伴いますので、私も若い頃から「歯医者さん」は苦手でしたが、年をとってきたこともあり、気持ちに折り合いをつけて定期的に診察を受けるようになりました。ですので、いつも、障がいのある子どもたちが、どのように気持を整えるのかを興味をもって見ています。

 歯科医の先生と子どもとのやりとりを見ていると、まず始めに、手と手を合わせてタッチをしたり、子どもの好きなアニメキャラクターや食べ物の話をしたりなどします。その後、先生は治療に適した姿勢をとらせるため、「椅子に座って、頭をトーン(枕に頭をつける)。」や「口をアーーン(大きく開く)。」などと子どもに分かりやすい言葉で促し、子ども自身が自分で態勢をとれるようにしています。そこからは、手早く、「シュッ(空気や水を拭きかける)するよ。」、「ギー(削る)するよ。」などと、これから行うことを子どもに打診しながら治療をしていきます。また、「10、9、8・・・」などとカウントダウンをしながら終わりに見通しを持たせることもしています。治療中に泣き出す子どももいますが、治療が終わって先生から褒められると、どの子も得意そうな顔になり、治療室から出てきます。

 「障がい」といっても、一人一人違います。歯科医の先生と子どもとの間には、「不安や怖さ」を「安心や信頼」に変えるかかわり合いが、個々に生まれていることにいつも感心します。子どもに無理強いはせず、一人一人に合わせた安心を蓄積することで、子どもたちが当たり前に通える「信頼できる場」になっています。そのような雰囲気が、私も含め、全ての患者さんの安心につながっていると感じます。

 2024年4月から、民間の企業や学校などでも、障がいがある人に対して、「当たり前に、みんなと一緒に生活できるようにする配慮(合理的配慮)」が義務化されます。2016年から公の機関(公立学校や各種役所など)では始まっていましたが、さらに、障がいへの理解を進め、誰もが一緒に、安心して生活できる社会を目指していきましょう。
(執筆:特別支援教育課長 根本 健一(ねもと けんいち ))