ニューヨークで研修してきました! 福島県立ふたば未来学園高校(その1)
福島県立ふたば未来学園高校は、平成27年4月に開校しました。東日本大震災と原子力発電所の事故により、県立高校5校が休校を余儀なくされ、この5校の想いを受け継いでできた学校です。
平成27年度から令和元年度までは「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」の指定校に、令和2年度から令和4年度までは「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」の指定校に、そして令和5年度からは「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」の事業拠点校に指定されました(※ふたば未来学園を含む2校が東北で初めて指定)。
文部科学省の指定に基づき、ふたば未来学園は、平成28(2016)年からニューヨーク研修を行っています。令和5年3月10日から3月18日までの9日間にわたり、高校2年生8名がニューヨーク(以下NY)を訪問し、国際機関や世界の同世代と意見交換や交流をしてきました。どのようなNY研修だったのか、4月に行われた研修報告会からその一端をご紹介します。
Paying it forward from Fukushima(恩送り)
NY研修での学びを最大化するために、渡航前に研修を行いました。主な事前研修は、この5つです。
①小玉直也さんとの対談(講演会)
②会津大学の留学生との交流
③国連の現状についての学習
④映画「1/10Fukushimaをきいてみる2022」鑑賞と感想交流会
⑤英語でのディベートの練習
※プレゼンテーション資料の作成
5つの事前研修をとおして、世界を知り世界で起きている問題を他人事としないことがいかに大切か、東日本大震災から何を学び伝えるか、ふくしまの理想の未来に向けて何ができるのか、について思いを巡らせながら、立場や年齢、職業をこえて対話し考えを深め合うことで諸問題を解決することができるのでは・・・と考えた2年生。
国連という場で何を伝えたいのか、伝えるべきか。
そこで、自分たちが受けてきた「恩」を、新しい形で次の世代や地域に送るという Paying it forward(恩送り)をキーワードとして、震災当時の記憶、ふたば未来学園開校の経緯、福島の課題、探究活動の内容、そして原発処理水の海洋放出について伝えることに決め、プレゼンテーションを制作しました。
いよいよ渡航!研修1日目 NY市職員の方へプレゼン
7泊9日のNY研修。ニューヨークでの1日目は、NY市役所公園局の水に関わる研究者の方々に対して、原発処理水の問題を中心に、各自が行っている探究活動についてプレゼンテーションを行いました。NYでは、人口増加と発展の影響で、嵐のような強い雨が降ると浄水場の下水があふれ、汚染につながるという問題が生じているとのこと。研究者の方々から、NYと福島の共通点を提示していただいたことで、より深い議論につながりました。
そして、この日は日本時間3月11日(土)。プレゼン後、学校とZoomで結び、3.11追悼式に参加。午後2時46分に合わせて黙祷しました。
2日目 Harlemの学生たちとの懇談
2日目は、ハーレム(Harlem)で黒人文化について学びました。ハーレムは、アフリカ系アメリカ人やオランダ系移民など、新天地での生活や仕事を求めてきた人たちが集まった場所です。
午前は、マイケル・ジャクソンをはじめ、多くの有名アーティストを輩出したアポロシアターを見学。歴史や「観客席の一列目に座ってはいけない」というルールなどについての話がありました。なぜ「一列目に座ってはいけない」のでしょうか。それは、かつてこのステージで活躍した故人の魂が座っているから・・・とのことです。そしてなんと!このステージでパフォーマンスをしてきました!
その後、ハーレムの町を散策。セネガル出身の方から、黒人やアフリカに住む人々に対する偏見についての話を聞きました。午後は、黒人文化の歴史のアーカイブが残るションバーグ黒人文化研究センターを訪問し、ハーレムの高校生と交流。原発処理水などについてのプレゼンテーションを、より「伝わる」ように意識して行いました。
福島県立ふたば未来学園高校のNY研修、いかがでしたか?
次回は、NY研修3日目から最終日までの様子をお送りします。
福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校のホームページもぜひご覧ください。