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【開催報告】 進路で悩む前に聴いてほしい話 X-TALK二本松実業高校を開催しました!

 県北地方振興局は、管内の高校に出向いて、地元で働くゲストと高校生との座談会を開催しています。今回は11月29日に二本松市の二本松実業高校で開催した座談会の様子を一部紹介します。当日は進行をサポートするファシリテーターに東邦銀行の木村信綱さん、ゲストに二本松市のケーキ工房 Pattisserie MoMo店主・釜崎みゆきさん、二本松市振興公社販売Ⅱ部部長・押山啓史さん、福島市の安藤組建設部課長・藤原華代さん、同市の寿建設代表取締役社長・森崎英五朗さんの4人をお迎えして、高校生21人が進路や働くことの意味、働く人たちの本音、仕事に就いたきっかけなどについて聴きました。

1 まずは自己紹介

 トークゲスト4人に自己紹介をしていただきました。

釜崎さん

 二本松市役所の近くでケーキ屋をやっています。ケーキ屋さんになりたいとか、食品関係の仕事に就きたいという方のサポートができればと思います。

押山さん

 道の駅安達上下線、スカイピアあだたら、安達ケ原ふるさと村の管理運営をしています。

藤原さん

 私の会社は建築業です。木造、コンクリート造、鉄骨造などの建物を建てる仕事をメインに現場でヘルメットを被り作業しています。

森崎さん

 わが社は建設業の中でも土木という仕事です。トンネルを掘る仕事もしていますが、国道4号線の60キロ区間を守る仕事も1年中やっています。建設業は、大きく分けて建築と土木に分かれます。建築は建物、それ(建築)以外は全て土木です。例えば、道路や河川の整備、鉄道施設の保守管理なども土木です。

2 高校の頃から今の仕事を目指していた?

 トークゲストの皆さんは、それぞれのお仕事をされていますが、高校生の頃から今の仕事を目指していたのでしょうか。

釜崎さん)高校の頃は、漠然と食に関わりたいとしか考えておらず、調理師になるかお菓子に進むかで悩んでいました。製菓だと女の人も活躍できる場所に見えたので、製菓を選びました。

押山さん)進路について真剣に考えてはいたのですが、答えが見つかりませんでした。1年浪人して千葉県の大学に進学しました。

藤原さん)中学生の時に折込チラシの住宅平面図に興味を持ち、設計をやってみたいと思い、高校は建築科を選びました。3LDKの住宅の間取り図などにすごく惹かれました。

森崎さん)家業に全く興味がなく、大学を卒業してからは、家業とは違う仕事をいろいろやりながら人生を歩んでいましたが、帰ってこいと言われて、覚悟を決めました。

 ゲストの方から、それぞれの思いを話していただきました。思っていた進路とは違った将来でも、現在はそれぞれの立場で活躍されていらっしゃるのが分かりました。

3 進路を考える高校生へのアドバイスは? 

 これから進路を考える上で、高校生の悩みはたくさんあります。そんな悩める高校生に、ゲストの皆さんからアドバイスをいただきました。

釜崎さん)お菓子の業界は、思っているほどキラキラしていません。朝は4時起きで寝るのは午後11時ぐらいです。単にお菓子が好きなだけでは続けられません。独立すると経営の目線も重要です。

押山さん)私の会社では、売店・直売所・コンビニなどいろいろな仕事がありますが、私が担当しているのはベーカリーと日帰り温泉などです。ベーカリーでは私もパンを作ります。シフト制で1日おきに今日は6時半、明日は9時といった感じです。いろいろな経験がしたい人に来ていただきたいです。また、地元密着企業なので、地元が好きな方が向いています。

木村さん)
──いろいろなことをやっている会社に入ると、いろいろな経験ができます。自分に何が向いているか分からない人には、多分すごくプラスになるのではないかと思います。──

藤原さん)現場での作業がある日は、朝は6時半くらいに起きて、自宅から現場に「直行」です。家を建てる時にはいろいろな業者が参加します。いろいろな職人さんのスケジュールを押さえて内容を伝え、来てもらわなければなりません。スケジュールを決める立場になると、一人前と言えます。職人さんたちとちゃんと向き合ってコミュニケーションを取ることが大事だと思います。コミュニケーション能力は求められます。

森崎さん)うちで新しく作るのはトンネルが多いのですが、仕事の7割ぐらいはメンテナンスです。道路、鉄道、トンネル、橋の補修工事などに携わっています。業界のデジタル化はかなり進んでおり、若い人たちが入りやすくなっていると思います。今年の4月1日から「2024年問題」といって、一定時間以上残業したらダメという法律が厳格になっています。この業界で働く人が減ると社会の基盤が守られなくなる可能性が高いので、とにかく業界に入ってほしい。建設業のPRをしてくれる人も歓迎です。

 ここで、ゲストの皆さんに質問!

生徒A 土木で一番大切なことは何ですか?

森崎さん)土木の仕事って社会の下支えです。社会のために頑張るって気持ちがあることが一番大事だと思います。「利己」ではなく、「利他」の心だと思います。

木村さん)──何のために頑張るか、こういうことをプライドと呼んでいます。生徒の皆さんが真剣に質問すると、大人は教えてくれるので、いろいろな人に聞いてみてください。──

木村さん)仕事を続けていくための力「プライド」は何ですか?

藤原さん)与えられた仕事を期間内に終わらせなければ、完成させなければというのが一番です。

押山さん)お客様が喜んでくれる顔を見るのはうれしいです。お客様のことを考えると、多少大変でも頑張れます。

木村さん)ストレス発散の方法は?

釜崎さん)仕事をしない。すべてから離れてみます。

生徒B どんな資格を取ったらいいのか教えてください。

釜崎さん)製菓学校に行けば製菓衛生師、調理師学校に行けば調理師免許の資格が取れるので、就職には有利です。それ以外では簿記です。社会に出て仕事をすると、計算することが多いです。

藤原さん)高校生の段階で取れるのは、2級建築士。実地試験は働いてからではないと取れないみたいなので、あくまでも補佐という形にはなります。建築業ですと建築の施工管理技士、設計をする建築士という資格があります。

森崎さん)土木では土木施工管理技士があります。それ以外にも、際限なく資格はあります。

参加した生徒さんから、たくさんの質問をいただきました。

 森崎さんがおっしゃった「利己」ではなく「利他」の心のフレーズがとても印象に残りました。他のゲストの方も高校生からの質問に丁寧に答えていただきました。

4 進路に向き合う高校生に一言

 最後に、ゲストの皆さんから高校生に向けて一言いただきました。

森崎さん)どんな仕事も大変です。何をしたいか決められないならば、もう何かの仕事に入ってしまうのも1つの手だと思います。1回そこに没頭してみてから次を考えればいいと思います。

藤原さん)今皆さんがやっている学科は大事ですけれども、いろいろなことに興味を持つことが一番大切だと思います。少しでも気になるなと思ったことを深掘りして、そこから発展させていくことも大切です。

押山さん)これから先のことを少しでも、今考えていただけたら、絶対にプラスになると思います。

釜崎さん)今しかない楽しいことを、とことん追求した方がいいかなと思います。

X-TALK終了後には、ゲストの方に直接話を聴く生徒さんも!

 参加した高校生からは、「将来の進路にとても参考になった」「色々な視点が見られて良かった」とのコメントもあり、今後の進路選択に参考となったようです。

5 まずは進路の扉を開けてみよう!

 進路の選択をするとき、皆さんの前にいっぱい扉があったとしても、どの扉も全部正解です。開けた扉の先で自分がどのくらい頑張れるか、頑張れずに他の扉を開けに行ってもいいし、どの扉も全部正解です。まず思い切って扉を開けてください。選んだ先で、信頼を得るまで頑張ってやってみる。その上で他の扉を開けていってもいいと思います。今日は4人のゲストの皆さんから本当に素敵なお話をいただきました。少しでも皆さんの役に立てればと思います。