系統的に学習を「積み上げる」、必要な支援を「続ける」 福島県立相馬支援学校
本校は、昭和46年4月1日に知的障がいのある児童生徒を対象に、相馬市立養護学校として創立され、平成12年4月1日には高等部が設立されました。
平成22年4月1日、市立時代の39年間の教育実践を受け継ぎ、福島県立相馬養護学校として新たに開校しました。平成29年4月1日には、福島県特別支援学校条例の一部改正により、校名を「福島県立相馬支援学校」に改正しました。そして令和2年4月には、南相馬市鹿島区に校舎を新設し、相馬市より移転しました。
今回は、校舎移転に伴い、本校ならではの切れ目のない支援に向けて取り組んでいることや、本校の授業の様子について、いくつかご紹介します。
1 小学部から高等部までの切れ目のない支援に向けて
本校では、学校教育目標をはじめとする教育課程の抜本的な改革に取り組んできました。学習指導要領の着実な実施を柱にしながら、学校で目指す資質・能力を明確にしたり、各教科等の系統的な学習を積み上げられるよう、小学部1年生から高等部3年生までの指導計画を整理したりしてきました。
また、児童生徒一人一人の実態に応じて作成される「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」等の様式を改善し、必要な支援や指導を明確にするとともに、担当者間で引き継げるようにしています。
さらに、各教科等の単元ごとに「単元案」を作成し、育成を目指す資質・能力を明確にしたり、必要な支援を明記したりすることで、より児童生徒一人一人に応じた授業が実現できるように努めています。
※相馬支援学校の「単元の書き方」はこちら ↓↓
2 小学部
児童の自ら学ぶ力を高められるよう、身近な生活に関わる内容を中心とした各教科等の指導を行っています。日常生活の基本的な知識や技能、態度等を実践的に学ぶとともに、言葉や数などの学習に楽しみながら取り組めるよう、児童一人一人に応じた支援を行いながら授業を進めています。
また、交流及び共同学習にも力を入れており、学校間の交流のほか、児童の居住する地域の学校での学習機会の充実も図っています。
3 中学部
地域の方を講師に招き、相馬地方の伝統である相馬流山踊りを体育の授業で学びました。
講師の方より、「相馬野馬追の祭りの時に踊る相馬流山踊りに参加しないか」とのお誘いを受けました。いずれは、伝統ある地域の行事に参加できるように、これからも練習を重ねていきます。
4 高等部
卒業後の社会生活を見据えて、「働くこと」に関する様々な学習を行っています。本校の「作業学習」では、紙製品、陶芸製品の製作、清掃業務など、実際的な活動を通して、職業に関する知識、技能、態度等を学んでいます。学習発表会「咲笑祭(さくえさい)」では、製品を販売したり、清掃や喫茶サービスなどのデモンストレーションを披露したりしています。
また、年に2回の「現場実習」では、企業や事業所などにおいて実際的な学びを行っています。「現場実習報告会」では、現場実習で学んだことを自分なりにまとめ、全校生徒に向けて発表しています。
今年度、作業学習の時間に製作した作品です。
特別支援学校作業技能大会では、窯業製品部門でタンブラーが最優秀品質賞、布・織物製品部門でボトル保冷バッグが銀賞、紙工製品部門で卓上カレンダーが銅賞をいただきました。特に最優秀品質賞をいただいたタンブラーは、大堀相馬焼の窯元からご指導を受け、二重構造を取り入れました。
生徒の学びを生かしたアイデアを取り入れ、使う人の立場に立った製品に仕上がっています。
5 教師寺子屋
本校では、教師の学びも大切にしています。本校独自の校内研修として、校内人材を活用した「教師寺子屋」を開催しています。単元案の作成方法や学習評価、生徒指導、進路指導、ICT活用、発達検査、書写指導など多岐に渡る校内研修を実施しています。教員それぞれの得意分野を生かし、互いに学び合いながら高め合う取組を進めています。
※ぜひ、相馬支援学校のnoteサイトと学校HPもご覧ください!