生徒一人一人を大切にし、地域社会から 信頼される学校へ 福島県立白河第二高等学校
記事の概要
本校は、今年で創立76周年を迎える県南地区唯一の夜間定時制高校です。勤労と学業の両立を通して、社会人としての自覚と自主及び自立の精神を養い、思いやりのある豊かな心を持った人材の育成を図っています。
生徒の主体的な活動を支える取り組みとして、「進路ストーリー」に基づき、卒業後を見据えたインターンシップなどの活動をサポートするほか、「特色ある校内活動」を通した豊かな人材育成、「地域とのつながり」を深めるための活動、「健康・体力増進」に向けた取り組みを実践しています。
1 「進路ストーリー」の取り組み
(1)インターンシップ
自分の進路を明確にする前に、1年次より地域の企業でのインターンシップの機会を設けています。生徒それぞれの事情により、インターンシップに参加しやすいタイミングは様々なので、生徒自らが準備ができた段階で参加できるように、受け入れ先の企業には年間を通した生徒の受け入れに理解を得ています。
アルバイト経験を通して社会性を身につけることも重要ですが、それが叶わない生徒にとっては貴重な機会となっています。中には、インターンシップで経験を積み、自信がついたことにより、アルバイトを始める生徒もいます。
(2)外部と連携した模擬面接
白河市内にある「若者サポートステーション」と連携をはかり、就職活動に向けた模擬面接を行っています。校外で挑む模擬面接では、学校内で行う時にはない緊張感が漂います。
(3)卒業後のつながり
「進路ストーリー」を経験した令和5年度の卒業生は、就職(正社員)・進学の進路決定率100%を達成しました。卒業後も、教員が就職先と連絡を取り合いながら生徒の様子を伺い、必要に応じたサポートをしています。
2 特色ある校内活動
生徒同士の交流を深め、新しい価値観を知る一つのきっかけとして、さまざまな校内行事を経験します。
(1)生徒会主催行事
本校では、生徒会が企画・運営をする校内行事が数多くあります。「誰もが参加しやすい行事づくり」を目指しながら、新入生歓迎会、定通大会壮行会、校内スタンプラリー、校内レクリエーション大会などを通して、生徒の自主性を育みながら学び、友達と交流する機会としています。
(2)学校菜園
本校の中庭で学校菜園を行っています。たくさんの花が一気に咲きそろうことをイメージした「夜闇(やあん)の百花斉放(ひゃっかせいほう)in白二高」という名前で、昨年は修明高校の農業科の先生の指導のもと、「葉牡丹」「カブ」「べんり菜」などを栽培しました。大切に育てた野菜を味噌汁にして食べるなど、生徒たちが植物の成長に喜びを感じる活動となっています。今年も2学期に家庭科とコラボし、育てた野菜を調理実習で使用する予定です。
(3)総合的な探究の時間(学年縦割り+”たんきゅう編”)
これまで、総合的な探究の時間において、学年の枠を取り払い、興味のある分野(国際・情報、文化、卓球、バドミントン、ダンスなど)に分かれての活動を行ってきました。それに加えて、令和6年度より、個人のテーマでの探究活動を行う”たんきゅう編”の活動が始まりました。”たんきゅう編”の最初の授業ではミニ探究として、「どうしたら、ゴミ拾い活動を楽しく出来るだろうか」という問いにみんなで取り組みました。「拾ったゴミの量に応じて得点をつけてゲームにする」、「グループを好きなように組んで友達と話しながらやる」、「服が汚れるのが嫌だから汚れてもいい格好で行う」など様々な意見が出ました。実現可能な案を活かして、8月末に実際に行うゴミ拾いボランティアに取り組む予定です。
3 地域とのつながり
地域の方々や施設と接する機会を作り、卒業した後にも地域との関わりを続けることができるように、地域の中での自分の居場所が見つけられる取り組みを行っています。
(1)図書館訪問
1年生が白河市立図書館「りぶらん」を訪問し、普段は見られない図書館の裏側などについて、館長より案内を受けました。図書館を周りながら、自分の好きなスポットを見つけてきて、クラスメイトとシェアするという活動も行い、図書館や本を以前よりも身近に感じるようになりました。
(2)ゴミ拾いボランティア
毎年、夏休み明けに白河市内のゴミ拾い・清掃ボランティアを行います。「少しめんどうだな」と思いつつも、友達とおしゃべりしながら、自分の生活する街がキレイになるのは嬉しいと感じる生徒が多くいるようです。
(3)外部講師による特別講座
1年間を通して、外部講師を招き、「スマホ・ケータイ安全教室」(5月)、「防災教育講習会」(6月)、「性教育講座」(6月)、「薬物乱用防止教室」(7月)、「ゲートキーパー講習会」(7月)、「救急法講習会」(9月)、「交通安全教室」(9月)、「白信マネースクール」(11月)、「栄養教室」(1月)などの講習会を行っています。生徒たちは初対面の講師の方の話を少し緊張しつつも、メモを取りながら真剣に聞いています。
(4)ユースワーク事業
令和5年度に白河市・一般社団法人未来の準備室・本校の3者間で、高校生の多様な幸せの形(ウェルビーイング)の実現を目指して、包括連携協定を結びました。協定に基づき、令和6年度から、白河市よりユースワーカーが2名派遣され、総合的な探究の時間等を通して地域との連携を深めるとともに、放課後や夏休み期間中の校内カフェの開催などを行っていく予定です。
4 健康・体力増進
(1)学校給食
授業が始まる前の学校給食は生徒の健康を支える大切な取り組みです。校内の食堂で、栄養士さんと調理員さんたちが生徒の笑顔のために毎日美味しい給食を作ってくれています。「ごちそうさまでした」「行ってらっしゃい!」という食堂での挨拶も、大切なコミュニケーションの一つです。
給食を通じて季節を感じてほしいという栄養士の思いから、こどもの日や七夕、お月見やクリスマス等の特別メニューを提供するほか、七夕飾りやクリスマスツリー等、食堂の過ごしやすい空間づくりにも工夫をこらしています。
(2)定通体育大会に向けた練習
本校では現在、バドミントンと卓球において、チームを組織し、6月の県定通体育大会、10月の県南定通体育大会に向けた練習を行っています。限られた練習時間の中、技術の向上と体力の増進を図り、今年度はバドミントン団体で県優勝を果たし、全国大会にも出場しました。
(3)体育の時間の「10分間走」
全学年の体育(週2時間)において、授業の初めに「10分間走」を毎時間継続しています。自分のペースで走ることを大切にしながら、普段の運動不足を解消し、健康・体力増進に励んでいます。
(4)「あおぞらマラソン」への挑戦
生徒の「10分間走」に刺激を受け、本校教職員も生徒に負けじと、自己の心身と向き合いつつ、「走ること」にチャレンジしています。今後は「チーム白二高」として、生徒も交えて「フルリレーマラソン」に出場することを目指しています。