2025年1月号 編集後記 主語は子どもたち~想像と創造~ 教育総務課長 柾木 渉
今年の年末年始は、妻や息子、猫も福島の実家で過ごし、兄妹家族も一緒に大勢で年末年始を過ごしました。信夫山の麓にある祖父母の墓参りに行ったり、年始早々に大笹生にある道の駅ふくしま、隣接する「ももRabiキッズパーク」で思う存分遊んだり、毎冬あぶくま親水公園に飛来する白鳥やカモを見に行ったりと、福島のいろんな風景に触れてきました。
4月のnoteに掲載した信夫山は雪化粧により様子を変え、四季により多様な姿を見せてくれます。振り返ってみると、もう四季が一周してしまうのかと、時の流れの早さを実感します。
●福島県の教育により目指すべき姿
着任して早9か月が経過しました。福島県教育委員会では、令和4年度~令和12年度までの第7次福島県総合教育計画を策定し、この計画に基づき、各種施策を講じています。今年も本計画が掲げる「個人と社会のWell-being(一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せ)の実現」に向けて、関係各所と連携を図りながら、県の教育行政を前進させてまいります。
令和5年度に策定された国が掲げる教育振興基本計画においても、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」と、県計画と同じく「ウェルビーイング」という言葉が明記されました。教育関係のみならず、多分野においてウェルビーイングという言葉を耳にするようになりました。この計画の中では、ウェルビーイングについて、「身体的・精神的・社会的に良い状態にあること。短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念。」として説明されています。
やや抽象的な概念でイメージが湧きにくいと思いますが、生徒のウェルビーイングを構成する具体的な例として、文部科学省の会議資料では、以下のような場面が提示されています。
自分自身を肯定する気持ちやクラスでの居心地の良さ、学校に好きなことがあるかといった内容が挙げられていることがわかります。学級・学校運営や生徒指導においては、児童生徒の心身的な健康という視点のみならず、子どもたちが主体的に学びに向かえる環境、自己決定ができる環境、教育活動における共感的な環境(意見をしても良いと思える環境)の構築という取組が求められます。
●主語は子どもたち
年末、教育長が庁内職員向けに講演を行った際に、私が別の機会に使用したスライドについて触れていただきました。
子どもたちの学びを支える組織図として、学校や教育委員会、文部科学省を位置付け、生徒向けに簡略的に作成したものでしたが、教育長からは、「よく教育施策は教育行政からのトップダウンと言われるが、教育委員会は、学校と伴走しサポートしながら、子どもたちの学びを支えるところ」と図により紹介いただきました。
学校も然り、教育委員会も、常に子どもたちを主語にし、子どもたちが生きる将来の社会をイメージしながら、学校目標や施策を検討していくことが大切であると、再認識しました。
分かりやすい例としては、教員の働き方改革のように、誤解をすると「何でも削減すればよい」と帰着してしまうこともありますが、あくまで、子どもたちにどのように時間を還元していくのかとセットで考えておかなければ、学校教育の本質を見失ってしまうことがあります。(いずれにせよ、教員の働き方改革が喫緊の課題であることは言うまでもありません。)
文部科学省も然り、教育行政機関は、子どもたち・学校の現状と今後を想像(Imagination)しながら、各施策を創造(Creation)していくことが求められます。
●文部科学省の広報媒体で取り上げられた福島県の教育
文部科学省の広報媒体note「ミラメク」の「教育振興基本計画×実践事例」において、ウェルビーイング向上を目指す取組として、福島県の取組が掲載されました。
#1 ふるさとと子供たちのウェルビーイングを共に目指す
#2 不登校の子供たちへのオンライン支援
#3 高校生語り部が震災と復興を未来へつむぐ
取り組みの様子はそれぞれのnoteをご覧いただければと思いますが、子どもたちが主体となって学べるような多様な機会を確保できるよう、子どもたちを取り巻く現況に向き合いながら、施策を講じています(ぜひイイね♡を押してください!)。
本年も、子どもたちを主語にしながら、福島県の教育に向き合っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
福島県教育総務課長 柾木 渉