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「ふくしまの未来をひらく読書の力 プロジェクト」を開催しました!!(その2 午後の部①)

 令和5年10月14日(土)、福島県教育委員会主催、文部科学省委託事業「ふくしまの未来をひらく読書の力 プロジェクト~発達段階に応じた読書活動推進研修会~」を、矢祭町を会場に開催しました。午前はポスターセッション、午後に体験・演習、講演が行われました。今回は、午後に行われた体験・演習についてご紹介します(※午後の講演は次回ご紹介します)。


1 体験・演習「読書の町を体験しよう」

 午後の部は、読書の町を宣言している矢祭町の3カ所をバスで巡りながら、それぞれの取り組みについて体験するというものでした。
・ユーパル矢祭:もったいない文庫、ワークショップ開催の展示など
・矢祭もったいない図書館:手作り絵本コンクール作品の展示など
・矢祭小学校:図書館見学、子ども司書、としょ部の紹介

(1)ユーパル矢祭にて
 ~もったいない文庫、ワークショップ開催の展示など~

 矢祭町には、毎月第3日曜日の「矢祭町読書の日」に、町内約20カ所の集会施設等で図書の貸し出しを行う「矢祭もったいない文庫」が設置されています。この矢祭もったいない文庫の設置によって、住民にとって身近な場所で読書環境を整え、読書活動を推進しています。
 しかし、これで満足しないのが矢祭町。
 「どのようにしたら、もっと町中に本があふれるだろうか」、ということから令和5年9月7日から「本の交換スタンド」をスタートさせました!!
「本の交換スタンド」とは、矢祭町のさまざまなスポット(町役場、銀行、郵便局、病院など)で、読み終えた本を持ち寄ったり、自由に持って帰ったり(貸出期間なし)、物々交換ができる本棚です。返却は本の交換スタンドがある場所であればどこでもOK!
 町に本屋がない矢祭町。ですが、誰でもどこでも本を読むことができて、好きな本と出会うことができる矢祭町です。

「本の交換スタンド」で、だれでも本の物々交換ができます。

 続いて、矢祭町生涯学習・学校支援ボランティア「手のひらの会」の皆さんによる読み聞かせでした。最初は令和4年度「手づくり絵本コンクール」一般の部の最優秀賞『たっちゃんのランドセル かっちゃんのランドセル』。ランドセルや文房具、テストなどが使われている側の思いをつぶやいているお話です。このお話を読んだら、身の回りのモノたちがどんな気持ちでいるのか気になってしまうかもしれません。最後は『青いコート』。ある男性が青いコートを愛用し、すり切れたのでジャケットに。すり切れるたびに小さいものに作り替え、ついにくるみボタンに。「くるみボタンから何を作ることができるでしょうか?」との問いかけに、誰もがボタンよりも小さな衣類は何だろう・・・としばし黙考。すると、「このお話をつくりました。お話はすり切れませんからね」との言葉が。

ハーモニカで「どんぐりころころ」の演奏。ハーモニカの優しい音色で、読み聞かせの世界に引き込まれました。中央は『たっちゃんのランドセル かっちゃんのランドセル』、右は『青いコート』の読み聞かせの様子です。手のひらの会の方の温かい語り口調で、物語が一気に色づきました。 


(2)矢祭もったいない図書館にて
 ~手作り絵本コンクール作品の展示など~

 矢祭もったいない図書館は、全国から集まった約40万冊の寄贈図書のみで平成19年に開館。寄贈図書のみでの開館は、全国でも類を見ないケースです。この図書館は、令和4年の「読書の町矢祭」の宣言に大きく貢献するとともに、さまざまなことを行っています。
 その一つが、「手づくり絵本コンクール」の開催「一般の部」は高校生以上が制作した絵本が、「家族の部」は中学生以下の子どもが家族と一緒に制作した絵本が応募の対象となります。令和5年度は15回目を迎え、一般の部に109点、家族の部に225点の応募がありました。テーマは何か、どのようなストーリー展開にするか、どんな絵を描くか。それぞれのページから作り手の個性と絵本に込めた熱い思いがあふれていました。

平成27年度の「手づくり絵本コンクール 家族の部」最優秀賞の『おじいちゃんのトマト』。こちらは小学3年生と家族の方が作った絵本です。お話も絵も、とても心が温かくなる絵本でした。 
「手づくり絵本コンクール」最優秀賞の作品。審査委員長にノンフィクション作家の柳田邦男氏、審査委員に絵本作家のあべ弘士氏がおり、最優秀作品は矢祭町がハードカバーの本にします!!
スクリーンに上映中の「手づくり絵本コンクール」最優秀賞の作品

 矢祭もったいない図書館のもう一つの取り組みが、「子ども司書講座」。なんと「子ども司書」制度は、平成21年に全国で初めて矢祭町で始まったそうです。子ども司書に認定されると、矢祭もったいない図書館に名前が掲示されます。詳しくは、矢祭小学校を見学した際に説明してくれましたので、次の(3)の記事をご覧ください。
 現在、子ども司書制度は全国的に広がりを見せています。司書講座を通して、子どもたちが自ら課題を見つけ、図書などで調べ、問題を解決しようとする資質や能力が育まれています。

左は「矢祭もったいない図書館」の館内の様子で、右はキャラバンカー。色んな本がありました!


(3)矢祭小学校にて
 ~図書館見学、子ども司書、としょ部の紹介~

 矢祭小学校では、矢祭もったいない図書館と連携して「子ども司書講座」を実施しています。講座はなんと、小学2年生から開始!!小学校卒業までに指定したカリキュラムの12講座以上を受講し、卒業時に「子ども司書」に認定されるよう、学校のカリキュラム内で講座を実施しているそうです。では、子ども司書講座ではどのようなことを行っているのでしょうか。

 2年生は、バーコードを使った貸出・返却の仕組みや、本をきれいに拭くことを体験します。3年生は、「日本十進分類法 NDC」(本の背表紙に貼ってあるラベル)や本の並べ方について、「本を探してきて」というクイズ形式で本と関わりながら学びます。4年生は、45分で自分の好きな本を勧める本の紹介カード作りを行います。5年生は、新聞講座。新聞を読んで見出しをつけたり、逆に見出しから新聞の内容が把握できるように新聞の読み方について学んだりします。そして6年生は、ビブリオバトルを行います。

矢祭町地域おこし協力隊 読書の町づくりコーディネーターより(一部抜粋)

 矢祭町の小学生は、図書館や司書の仕事について学び、修了後は「子ども司書」として本の紹介カード作成や読み聞かせ活動などへの協力を行っています。本と人との結びつきを手助けする「子ども司書」、素敵ですね。
 では、矢祭町の中学生はどのような活動をしているのでしょうか。
 実は、矢祭もったいない図書館を部室とする特設部活「としょ部」が、今年度の5月から始動。図書館を通じて矢祭町を盛り上げる課題解決型の活動を行っています。中学2年生が活動について発表してくれました。

 特設部活「としょ部」では、「中・高生の交流の場が少ない」ことが課題と考え、本のドリンクフェスというイベントを開催しました。これは、本をイメージしたドリンクを作るというイベントです。中高生を対象としたので3点工夫しました。一つ目はSNSを活用して告知する、二つ目は会場に写真撮影の場所を設置する、三つ目はイベントの様子をリアルタイムで動画にまとめて共有する、というものです。イベントでは、クイズを開催して和気あいあいとなったり、ドリンクを交換して共通の話題で盛り上がったりしました。しかし、対象とした中高生があまり来ませんでした。問題解決に至らなかった原因がどこにあったのか、検討しているところです。

矢祭中学校 特設部活「としょ部」の2年生の発表より(一部抜粋)

 図書館の活動を通して、地域の身近な課題を発見し、解決のためにできることを探して、計画を立てて実践。その後、結果を検討して次につなげる。図書館や本を核にして矢祭町を盛り上げたいと活動している中学生も、素敵ですね。矢祭町の中学生の活動からも、目が離せません!!

 次回は、「ふくしまの未来をひらく読書の力 プロジェクト~発達段階に応じた読書活動推進研修会~」の午後に行われた講演についてご紹介します。
※前回の午前の部については、こちら ⇩ をご覧ください。


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