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福島県立岩瀬農業高校が教育奨励賞で最高賞にあたる「優秀賞・文部科学大臣奨励賞」を受賞!

 令和5年10月19日(木)、福島県立岩瀬農業高等学校の2・3年生3人と校長先生をはじめとする先生方が、第38回教育奨励賞で最高賞にあたる「優秀賞・文部科学大臣奨励賞」の受賞報告のために、県庁に来てくれました!!
 実は、福島県教育委員会が推薦した学校が、昭和60(1985)年に創設された教育奨励賞で優秀賞を受賞するのは、今回が初。岩瀬農業高校の研究テーマは「福島県の復興を果たす農業担い手育成プロジェクト」。では、受賞理由とともに、岩瀬農業高校の取組について高校生が発表してくれましたので、ご紹介します。

1 教育奨励賞とは

 教育奨励賞は、学校教育の一層の充実を図ることを目的として創設。文部科学省の後援を得て、時事通信社が主催しています。創造性に富んだ特色ある教育の実践に顕著な業績をあげた学校を表彰しています。
 岩瀬農業高校は、「震災から復興・創生するには、福島県産農作物の風評を払拭し、安全性を国内外に発信することが大切」と考えて、さまざまなことに取り組んでます。例えば・・・
・令和元年度から3年連続でGLOBAL G.A.P.高校認証品目日本一を達成
・産学連携をいかしてGAP認証コシヒカリを使った商品化に成功
・東京オリンピック・パラリンピックで選手村などへGAP食材を提供
・GAP認証コシヒカリの海外輸出プロジェクトを実施

 企業や自治体と連携して、GAP認証を受けた農産物で「6次産業化」や輸出プロジェクトなどに取り組み、農業系大学への進学者の増加にも結びついていることが、優秀賞・文部科学大臣奨励賞受賞の理由です。

消費者、生産者、環境にとって「Good」な農業の取組のことをGAP(ギャップ)といいます。GAPとは、Good(よい)、Agricultural(農業の)、Practices(取組) の頭文字をとった言葉で、直訳すると「よい農業の取組」という意味ですが、一般的には「農業生産工程管理」と呼ばれています。GLOBAL G.A.P.(グローバルギャップ)認証とは、それを証明する国際基準の仕組みのことで、世界120か国以上に普及し、事実上の国際標準です。

農林水産省HPとGAP普及推進機構HPより(一部抜粋)


2 岩瀬農業高校の取組は ~キッカケや内容~

 岩瀬農業高校は、平成30(2018)年にオランダの高校を訪問。交流する中で、オランダの高校生が福島県産農産物について「デンジャラス・フード(危険な食品)」というイメージを持っていること、欧州などでは農産物の安全管理の基準として GLOBAL G.A.P.(以下G-GAP)が用いられていることを学びました。そこで、福島県産農産物が「安心・安全・美味しい」ものであることを世界に伝えるために、G-GAP認証に取り組んでいます。

海外派遣事業で、姉妹校であるオランダの高校を訪問。福島県産農産物の調査をはじめ、スーパーや企業なども見学して、世界第2位の農産物輸出国であるオランダ農業について学びました。  

 学校全体でG-GAP認証に取り組んだ結果、令和元年度は11品目で、令和2年度から令和4年度は18品目で認証を受け、G-GAP高校認証品目数日本一を達成!さらには、JGAP(日本版GAP認証)でも畜産物3畜種で取得。3畜種同時認証は、なんと国内初の快挙です!!農産物の安全性を高める取組は、福島県や地元の鏡石町のPRだけでなく、高校生のチャレンジ精神や主体性UPにもつながるなど、波及効果をもたらしています。

JGAP認証書の認証品目には、乳用牛・生乳、肉用牛、採卵鶏・鶏卵の3種が記載されています。

 そして、これだけで終わらないのが岩瀬農業高校。
 農産物の生産だけでよいのかを問い、産学連携協定を締結している企業や地域おこし協力隊とともに、GAP認証を受けた農産物を使った商品開発に着手。これまでに、JGAPを取得した卵を使った愛情たっぷりん(プリン)をはじめ、G-GAP認証を受けたコシヒカリを使用した無添加糀あまざけ、カリーノケール米粉麺(半乾麺)などの商品化に成功しています。さらに、G-GAP認証を受けたコシヒカリを「福数多(ふくあまた)」と名付け、海外輸出プロジェクトにも取り組んでいます。
 これ以外にも、田んぼアートをはじめ、福島空港ビル内の緑化活動や滑走路付近の植栽など、観光面での「おもてなし」も行っています。福島空港をご利用の際は、ぜひご覧ください。

左は株式会社八芳園と共同開発し、モンドセレクションで金賞を受賞した「無添加糀あまざけ」。右は岩農産コシヒカリの「福数多」。キューブ状にすることでかさばらないようにするなど、パッケージからネーミングまで高校生が考案。アイデアと美味しさがギュッと詰まったお米です!! 


3 大沼教育長と懇談

 発表の後、大沼教育長と懇談しました。大沼教育長から「高校生の皆さんが主体的に関わるようになったことで、海外輸出にまで広がりを見せています。オランダを訪問してG-GAP認証の仕組みについて知ってから、継続的に受け継がれているこの取組は、屈指の取り組みだなと感じます。これからも福島県の農業教育、農業高校の底力を発揮して、下級生にこれまでの蓄積をバトンとして渡して、受け継いでいってください」とありました。
 最後に、高校生から力強い言葉がありましたので、ご紹介します。

GAP活動に取り組んだことで、主体性が向上しました。商品開発、産学連携、環境緑化活動など多彩な活動を行っています。そしてアグリビジネスの分野が強化されたことで、生産・加工・流通・販売のサイクルが確立され、活動が循環サイクルとなり、目に見える形となりました。将来の農業者を育成する先進校としての自信を高め、活動を継続していく上で大きな刺激になりました。多彩な活動が自信・やる気につながり、資格取得で合格率が上昇しています。進学者は年々増加するとともに、農業関連産業への就職者も増えつつあります。これからも新しい挑戦を続け、中学生が入学したい学校、在校生が誇りを持てる学校を目指していきます。グローバル化に対応した岩農は、地域あるいは福島から世界へ広がる学びを発信していきます。そして常に進化し続ける岩農を目指すことを誓います。

岩瀬農業高校の高校生より(※岩農(がんのう)とは岩瀬農業高校の略称です)
「売れ行きがいいのは?」との大沼教育長の質問に、無添加糀あまざけを手に、G-GAPを取得したコシヒカリで作ったことを説明。原料、瓶、ラベルのデザイン、すべて「福島産」だそうです。

 岩瀬農業高校の皆さん、第38回教育奨励賞で「優秀賞・文部科学大臣奨励賞」の受賞おめでとうございます。そして発表ありがとうございました!
 これからも岩瀬農業高校の取組から目が離せません。高校生が言うように「世界で岩農産が評価される日が待ちきれない!」
※ぜひ岩瀬農業高校のnoteサイトとHPもご覧ください。


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