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「ふくしまの未来をひらく読書の力 プロジェクト」を開催しました!!(その3 午後の部②)
令和5年10月14日(土)、福島県教育委員会主催、文部科学省委託事業「ふくしまの未来をひらく読書の力 プロジェクト~発達段階に応じた読書活動推進研修会~」を、矢祭町を会場に開催しました。午前はポスターセッション、午後に体験・演習、講演が行われました。今回は、午後に行われた講演についてご紹介します。
2 講演「乳幼児期から高校期まで切れ目の無い読書活動のために」
最後は、学習院大学文学部教育学科の秋田喜代美教授の講演でした。1時間があっという間でした。一部をご紹介します。
(1)切れ目のない読書活動に向けて
「本を読む」時間が0分という不読率(ふどくりつ)は、小6から中1、中3から高1の間で増加。そこで、進学の際に切れ目のないように、子どもの目線に立ち、本を読むこと自体が楽しいと感じられるよう、子どもの読む喜びを育み支えることが大切です。今年策定された第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」では、不読率の低減、多様な子どもたちの読書機会の確保、デジタル社会に対応した読書環境の整備、子どもの視点に立った読書活動の推進を基本的方針に掲げています。
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(2)ブックスタートとは
ブックスタートは、1990年代に移民が多いイギリスで始まりました。子どもが学校(言葉)に適応できるように、1歳前の子どもに絵本をプレゼントして、絵本による幸せなひとときを味わってもらうというものです。日本でも2000年からブックスタートが試験的に始まり、今では63%の地域で0歳児検診などの機会に絵本をプレゼントするということが行われています。
生涯にわたって読む喜びを味わえるように、良質の本との出会いを大人がどう支えていくか。読む喜びをともに分かち合うことこそが、人がつながり合っていくこれからの社会で大事です。ブックスタートは、情緒の絆を育み、子ども真ん中の社会づくりにもつながっています。
赤ちゃんへの読み聞かせは、誰でもいい(お母さんでなくてもいい)んです。読む声が大事。日本では「楽しいねぇ」など、言葉に「~ねぇ」をつけますが、この共感の「ねぇ」や言葉を添えることが大事。子どもとともに絵を見つめ、子どものまなざしを感じながら読むことが重要です。
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(3)読み聞かせと読書のススメ
皆さんのスクリーンタイム(スマホやテレビなどを見る時間)や、読書時間はどのくらいですか?
2006~2008年における調査によると、平日の子どものスクリーンタイムは平均2時間超であるのに対し、読書時間が10分以下の子どもは、約65%に上ります。そして、小学1年生の時点ですでに不読になっている子どもがいます!!日本は図書館が整っているため、世帯年収と読書時間との間に関連はありません。小学1年生で不読になることのないように、「家読(うちどく)」など、幼児期に親子が一緒に読む仕掛けを作ることが大切です。
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では、読書と学力との間に関係はあるのでしょうか?
2021年の学力調査の結果から、家に「本」が多い家庭の子どもほど、学力調査の正答率が高い傾向にあります。また日本では、要領よく読むためのテスト対策はありますが、学校の中で100ページ以上読むということがありません。逆に、長いものを読むフィンランドでは、読解力が高いです。読書の量だけではなく、忘れられない体験をすることも大切です。就学前の読み聞かせは、一人読みや、言語力・論理力を育むことにつながります。
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最後に秋田先生は、「読書活動を通して、子どもに希望の種をまいていただきたい」と語り、やなせたかしさんの言葉を引用。
なにかをひとつ しるたびに なにかひとつの よろこびがある
なにかをひとつ まなぶたび なにかがひとつ わかってくる
もっとしりたい まなびたい 無限の道を すすみたい
またエレン・ケイ『児童の世紀』から、「子どもを育てるということは、子どもの中に生きる喜びと希望を育てること。子どもたちに人間として生きることの喜びと希望を学ばせたい」という言葉を引用。「本を読む喜びが、生きる喜びになるように、矢祭町の試みが福島県、全国に広がってほしい」とエールを送ってくださいました。
今、無性に本が読みたいと思っているのは私だけではないはず。さて、何から読みましょうか。
※午前の部と午後の部①については、こちら⇩からご覧ください。