【この展示が面白い!】仕事が仕事をしている仕事(福島県立博物館R5年度夏の企画展)
こんにちは。福島県教育総務課長の堀家です。
先日、福島県立博物館に行ってきました。
現在行われている企画展『仕事が仕事をしている仕事ー福島のものづくりと民藝ー』を見てきたところ、非常に面白い!
ぜひこの機会に皆様に御覧いただきたいと思い、紹介させていただきます。
1.「民藝運動」とは
民藝運動(みんげいうんどう)とは手仕事によって生み出された日常づかいの雑器に美を見出そうとする運動。
いわゆる「美しい」芸術作品や、古美術といった高価なものではなく、日本各地の焼物や染織、木竹工など、無名の職人が作り出した日用品にこそ「美」があると見なし、その美を発掘、紹介する運動のことです。
バタフライスツール等で有名な工業デザイナーの柳宗理の実父である美術評論家、思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)や京都を中心に様々な陶芸作品を残した河井寬次郎(かわいかんじろう)がこの運動の中心でした。
この企画展のタイトルとなっている「仕事が仕事をしている仕事」は河井寬次郎の残した言葉です。
河井は他にも「暮しが仕事 仕事が暮し」「新しい自分が見たいのだ──仕事する」「祈らない祈り 仕事は祈り」といった言葉も残しており、河井にとって「仕事」とは、生きることそのものであり、大いなるものに通じる道だったのだと拝察されます。
2.この企画展の見所
この企画展では、柳宗悦をはじめ、河井寬次郎、濱田庄司など福島を訪れた民藝作家の作品から、民藝の美意識を探っていきます。
福島の各地に根付くものづくりの中から民藝作家たちはどのような「美」を見いだしたのか。
日常生活の中で使われてきた片口や壺や鰊鉢が「作品」として展示されると、用の美、日々の生活の中に根ざした暮らしの息づかいを感じる展示に目を奪われ、確かに何か素晴らしいものに感じられます。
後半は、まさに日々の生活で使われていた簔の中にちょっとしたデザインが入っていたり、破れた衣服を繕う際のパッチワークなど、日常品の中にも作り手の「美意識」が働いていることを感じさせる展示が。
そして最後に「芋洗い棒」が展示されていて「美」は作り出すものなのか「素材」となるものに既にあるものを見いだすものなのかと問いかけられるのです。
奥深く、「美」について考えさせられる展示。
誰もが知っている有名な展示物や豪華絢爛な美術品がある訳ではありませんが、日々の生活に根ざした手仕事の美しさに触れることができる、見応えのある企画展です!
3.県立博物館にはその他にも見所がいっぱい
今回は現在行われている企画展をご紹介しましたが、県立博物館にはその他にも見所がいっぱいです。リニューアルされた常設展「民俗」についてはこちらの記事を御覧ください。
また「体験学習室」も「雪国ものづくり広場 なんだべや」としてリニューアルされています。会津木綿の端切れをパッチワークして作ったソファーがあったり、県内の様々な木材を用いたステージがあったり、伝統的な木造方法で作られた授乳室が完備されていたり。
親子連れで訪れても、子供も楽しめるスペースになっています。
また県立博物館内のティールームも、新たに雪国ものづくり食堂「つきない」としてリニューアルオープン。
会津塗や会津本郷焼、会津木綿、からむしといった手仕事にあふれる会津ならではの空間に囲まれて、会津の地場食品を使った美味しい食事をいただけます。
肉類をはじめとした動物性の食品を避けた「ヴィーガンメニュー」も準備されているところが嬉しいですね。
福島県立博物館令和5年度夏の企画展「仕事が仕事をしている仕事-福島のものづくりと民藝-」は9月24日(日)まで開催されています。
ぜひお立ち寄りください!