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探究学習に役立つ調べものガイド(入門編)④図書館活用のススメ

この記事のまとめ

・図書館は探究学習を手助けしている。まずは身近な学校図書館を使い、県や市町村の図書館・国立国会図書館でより進んだ調べものができる
・探究学習で調べものをするときは、必ず調べた記録を取ること。無駄なく漏れのない調べものには欠かせないし、将来や後輩たちの調べものに役立つこともある


はじめに

 探究学習では、テーマ設定から発表まで様々な場面で「調べもの」をします。福島県立図書館は、探究学習を含め、様々な調べものを手助けしています。この記事では、主に高校生に向けた調べもののお役立ちポイントを紹介します。

各回のリンクはこちら
 ①探究学習の進め方・調べる方法
 ②インターネット検索のコツ
 ③インターネット検索で気をつけたいこと
 ④図書館活用のススメ (この記事)

今回は、探究学習にも役立つ図書館の活用ポイントを紹介します。

図書館を活用しよう

図書館活用のススメ

 ①~③では主にインターネット検索を説明しましたが、もちろん図書館も探究学習に活用できます!

まずは身近な学校図書館へ!

 皆さんの学校にある学校図書館を使ったことはありますか? 学校図書館は単に本を読む場所ではなく、授業や情報活用を手助けする役割があります(注1)。具体的にどんな手助けをしているかは学校により異なりますが、是非活用してほしいのが学校図書館にいる学校司書です。学校司書は、私たち県立図書館の司書と同じように情報活用のプロであり、そして生徒の皆さんのことをよく知っています。皆さんの悩みに応じた様々な手助けをしてくれますので、調べもので困ったら是非学校図書館に行ってみてください。

公共図書館で一歩進んだ調べものを!

 皆さんは「公共図書館」を使ったことはありますか? 公共図書館とは、福島県立図書館をはじめとした県や市町村にある図書館です。福島県内には県立図書館と33の市町村に64の図書館があります。「住民みんな=公共」のための図書館なので、公共図書館は誰でも・無料で使えます(注2)。学校にはない本や新聞・雑誌などから役立つ情報が見つかるかもしれません。

 各市町村の公共図書館では様々な特色あるサービスを行っていますが、特に地域の歴史に関する本は多くの図書館で充実しています。いくつかの図書館では「デジタルアーカイブ」として昔の地図などを公開しており、インターネットから昔の街の様子などを知ることができます。

郡山市 https://adeac.jp/koriyama-city/top/

白河市 https://library.city.shirakawa.fukushima.jp/search/digitalarchive/

会津若松市 https://adeac.jp/city-aizuwakamatsu/top/

いわき市 https://library.city.iwaki.fukushima.jp/index.html?id=2

 福島県立図書館は、福島市にある県の図書館です。本だけでなく、明治時代からの新聞・雑誌などを含めて県内最大規模(約120万冊)の図書館となっています。そして単に本が多いだけでなく、情報を整理したり探したりするプロである司書がいて、皆さんの調べ物を手助けしたり(調査相談サービス)、探し方のヒントなども作成したりしています。また、県全体を対象とする図書館として学校図書館や市町村立図書館を手助けしています。
 特におすすめなのが「本の森へのみちしるべ」で、「磐梯山噴火」「ふくしまの城」など、テーマごとにどんな本やインターネットのページを探せばよいのかを案内しています。

意外と使える?国立国会図書館

 皆さんは「国立国会図書館」という図書館を知っていますか? 国立国会図書館は東京と京都にある国立の図書館で、本だけで約1200万冊(令和5年度)もある日本中の本が集まる図書館です。福島県からは遠いですし、入館できるのは残念ながら18歳以上(注3)ですが、前に説明した「リサーチ・ナビ」をはじめインターネット上で活用できる色々なサービスがあります。

 高校生の皆さんに活用しやすいのが「近代日本人の肖像」です。

 このサイトでは、松平容保、野口英世といった有名な人物の肖像写真を見られます。「ご利用について」では著作権の扱いなども書かれていて、このサイトの写真をレポートなどに使えるようになっています。
 また、昔の美術品(浮世絵など)の画像などをまとめて検索できる「ジャパンサーチ」というページもあります。

 このほかにも様々なサービスが提供されています。是非活用してみてください。

最後に大切なこと:必ず記録を取る!

 最後にもう1つだけ、大切なことがあります。それは学習のなかで調べものをしたときには、必ず調べた記録(どんな方法で探して、どんなものが見つかったのか、何に書かれていたのか)を取るということです。授業でも似たような説明があると思いますが、これには2つの理由があります。
 まず、記録をしっかり取ることで、無駄なく漏れのない調べものになります。特に探究学習ではグループで分担して調べることが多いですから、しっかり記録を取っておけばグループのメンバーで情報を共有できますし、他の人がもう調べたことを無駄に調べるといったことも防げます。
 そして、調べた記録は将来の自分や(発表内容を保存する学校なら)後輩たちの財産になるということです。もちろん全く同じような調べものは稀ですが、調べるなかで得た経験を記録しておくことで、将来探しものをするときのヒントになることが多くあります。
 全国の司書たちにも同じように調べものの記録を共有する「レファレンス協同データべース」(国立国会図書館)というページがあり、一般に公開されているだけでも約16万件(2024年10月現在)もの記録からヒントを得ています。

  ここまで、探究学習での探しものに役立つヒントを紹介してきました。字幅の関係で紹介しきれなかったことも多いですが、もしもっと詳しく知りたい・他にもヒントを知りたいということがあったら司書に聞いてみてください。皆さんの探究学習がより良いものになるのに役立てられれば嬉しいです。


注1 これを専門用語で「学習・情報センターとしての機能」といいます。
注2 ここで挙げた図書館の数は法律(図書館法)で「図書館」となっているもので、県内には他に福島市の学習センター図書室や公民館図書室など図書館に似た機能を持つ施設もあります。また、県内の法律上の「公共図書館」は私立のクローバー子供図書館(郡山市)を加えて65館になります。なお、県立・市町村立図書館が無料で運営しなければならないことは図書館法で決まっています。
注3 国際子ども図書館は除く。また、国立国会図書館にしかない資料の調査のために特別に入館が認められることがあります。


(福島県立図書館)
https://www.library.fcs.ed.jp