探究学習に役立つ調べものガイド(入門編)②インターネット検索のコツ
この記事のまとめ
・インターネット検索では、キーワード選びが重要。キーワードは短かくする、調べる範囲を思い浮かべる、検索結果からキーワードを入れ替えるなどのコツがある
・ページを作った人がおすすめする・参考になると感じたページをまとめたリンク集も活用すれば、インターネット検索で探すのは難しいページも探せる
はじめに
探究学習では、テーマ設定から発表まで様々な場面で「調べもの」をします。福島県立図書館は、探究学習を含め、様々な調べものを手助けしています。この記事では、主に高校生に向けた調べもののお役立ちポイントを紹介します。
各回のリンクはこちら
①探究学習の進め方・調べる方法
②インターネット検索のコツ (この記事)
③インターネット検索で気をつけたいこと
④図書館活用のススメ
今回は、調べものの基本になるインターネット検索で役立つポイントを紹介します。
キーワードの選びのポイント
インターネットで調べものをするとき、まずはGoogleなどの検索エンジン(注1)で「検索」します。「検索」でまず大切なことは何だと思いますか? それはずばり、キーワード選びです。キーワードがよくないと、的外れなページが出てきたり、重要なページが出てこなかったりします。ここでは、探すコツを3つ紹介します。
①キーワードは短い言葉の組み合わせで入れる(文章は入れない)
基本的には「探している内容」をそのままキーワードにすれば結果が表示されます。ですが検索エンジンでは各ページの内容全部を調べているわけではなく、ページを表すキーワードと検索された言葉を比較しています。そのため、文章をそのまま入れると無駄な言葉のせいでうまく比較できないことがあります(注2)。
✕フタバスズキリュウが発掘された場所を調べる
→○フタバスズキリュウ 発掘 場所
また、最初からあまり多くの言葉を入れると重要なページが検索から漏れることがあります。最初はおおざっぱに検索し、結果が多すぎるなら徐々にキーワードを増やしていきましょう。
②調べる範囲を思い浮かべる
皆さんは数学の授業で「ベン図」を学習しましたか? インターネット検索では、ベン図を活用すると調べたい内容に合わせてキーワードを選べます。
インターネット検索は、インターネット全体にあるページの中から、キーワードに当てはまるページを表示させるものです。ですから、各ページを集合の「要素」、インターネット全体を「全体集合」とすれば、インターネット検索は「『キーワードを含む要素』の集合」を表示させていると考えることができます。例えば、「福島の歴史」を含むページは、下図のように表せます(注3)。
キーワードを組み合わせることで、通常の検索エンジンでは「キーワードを全て含むページ」を探します。これはキーワード同士の「共通部分」を表します。例えば「福島にある高校の歴史」を調べるために、「福島の歴史 高校」と検索したとします。この検索は、下図のように表せます。このように複数のキーワードの共通部分を求める検索をAND検索といいます。
検索する前に「どの範囲のページを探しているのか」を考える習慣をつければ、検索してどんなページが出てくるか推測できるようになります。
③検索結果に合わせてキーワードを入れ替える
皆さんは検索して表示されたページだけで探しものを終えていませんか? キーワードを変えて何度も検索することで、より多くの情報を得られます。こうしたときに、先ほど説明したベン図が威力を発揮します。
例えば、先ほどの「福島の歴史 高校」という検索からキーワードを変えて、結果を増やすにはどうすればいいでしょうか? 一つの方法として「高校」が含まれるような別の集合を考えます。例えば「高校」の代わりに「学校」を入力して検索すれば、表示される検索結果は、下図のようになるでしょう(注4)。
この図を見ると、「学校 福島の歴史」と検索すると、「高校 福島の歴史」と検索するよりも斜線部の分だけ検索結果が増えていることが分かります。
検索結果で出て来た言葉を使ってもう一回検索することも大切です。
例えば「伊達市の名物」を調べた結果に「あんぽ柿」が出てくれば、「あんぽ柿 伊達」のように検索するとより詳しい情報が出てくるでしょう。
また、ほとんどの検索エンジンには「和集合」を表す検索方法(OR検索)や「補集合」を表す検索方法(NOT検索)もあります。コマンドを使うことでキーワードに言葉だけでなく、ページを提供する団体の種類(企業・官公庁・大学など)(注5)や言語、日付なども指定できる検索エンジンもあります。組み合わせれば「大学が提供しているページでカフェや喫茶店の中で音やBGMをどのように活用するか検索したいが、「雑音」は含まない」といった複雑な検索も一度にできます。
リンク集を活用しよう
検索エンジンは強力な検索ツールですが、インターネット上の全ての情報が探せるわけではありません。インターネット検索以外で調べる有力な方法の一つがリンク集の活用です。
リンク集はページを作った人がおすすめする・参考になると感じたページや、関係する機関や会社のページをまとめたものです。
例えば福島県のホームページにも関係機関のリンク集があるので、ここから市町村や国のページに行くことができます。
前回紹介した福島大学「地域×データ」実践教育推進室でも、動画ともに参考になるリンク集を作成しています。
詳しい調べものに欠かせないのが国立国会図書館の「リサーチ・ナビ」です。手に入れるのが難しい本や、高校生には見慣れない内容も多いですが「マンガについて調べる」など、様々なテーマの探し方を案内しています。
次回は、調べて出てきた情報を使う際の注意点を説明します。
注1 検索エンジンは、キーワードに当てはまるインターネット上のページを探し出すサービスです。
注2 AIを用いた検索では、AIが解釈しやすい文章を入れた方が上手くいく場合があります。
注3 Googleなどでは様々な加工をしているため、この通りに表示されるわけではありません。表示されるページが確実にキーワードを含むようにするには””で囲むなどのいわゆるフレーズ検索が必要です。
注4 実際には「高校」を含み「学校」を含まないページもあるのでこの通りではないですが、おおよその説明としてこのように例示しています。実際にGoogleを使って検索してみると、「福島の歴史 高校」では約70,700件、「福島県の歴史 学校」では約97,200件となり、結果が増えていることがわかります。(フレーズ検索を用いて検索した結果、2024年12月3日時点)
注5 インターネット上の住所であるURLの末尾につくドメイン(名)のなかには、特定のタイプの組織しか使えないものがあります。例えば福島県(https://www.pref.fukushima.lg.jp/)のドメインである”lg.jp”は、日本の都道府県や市区町村のみが使うことができます。多くの検索エンジンには、こうしたドメインを指定して検索できる機能があります。
(福島県立図書館)
(https://www.library.fcs.ed.jp)